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ソウルが先導、サステナブル・アーバン・ツーリズム

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キャサリン・ジャーミア・ハメル
韓国の北村韓屋村では、伝統的な家屋を見に観光客が押し寄せ、在住者を困惑させている
Image credit:アジア・太平洋YMCA同盟

韓国・ソウルで、ソウル公正観光国際フォーラム(SIFT)が先月開かれ、「オーバーツーリズム」への対応策が話し合われた。SIFTを機にソウルは、海外旅行者が特に集中する北村韓屋村で、旅行者にも住民にも公平で、サステナブルな観光を促進するための8つの措置を発表。旅行者と地元コミュニティにお互いの権利と生活の尊重を呼びかける、「フェア・トラベル・リビング・トゥゲザー」キャンペーンの実施宣言も行った。(翻訳=クローディアー真理)

「オーバーツーリズム」とは、観光地が対応できないほど多く、集中してビジターが訪れることだ。世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)とマッキンゼー・アンド・カンパニーによる2017年の報告書では、「地元の人々を遠ざける」「旅の質を低下させる」「インフラに過負担をかける」「自然破壊を引き起こす」「文化伝統を脅かす」といった問題をもたらすとされている。

オーバーツーリズムには、格安航空会社の隆盛が影響している。今年5月のシドニー大学の研究では、観光による温室効果ガスは全排出量の8%を占めるという。その内訳は交通手段が70%だ。また民泊の人気もオーバーツーリズムを後押しする。

ミレニアム・ディスティネーションズ

ソウルが呼びかける、「フェア・トラベル・リビング・トゥゲザー」キャンペーンは、同時開催された第7回世界観光機関(UNWTO)世界都市観光総会 の「都市観光」のセッションで発表が行われた。「フェア・トラベルとサステナブル・ツーリズムに対する世界的な啓蒙活動を行うこと」「各都市部をはじめとする、観光業界関連のステークホルダーすべてが活動を行うこと」「受け入れ国で、旅行者が公正でサステナブルな行動を取ること」を求めている。

2012年に行われた、国連持続可能な開発会議(リオ+10)で、各国の首脳が認めるように、「綿密に計画され、管理が行き届いた観光事業」は、サステナブルな発展、雇用創出、貿易の3つの側面に貢献するものだ。これをもとにソウルは、サステナブル・ツーリズムを実践するモデル都市になることを目指す。

UNWTOによると、世界の観光客数は過去10年以上順調な伸びを見せており、2017年には7%増、合計13億人に達したと発表した。2030年までには18億人にまで増加すると考えられている。都市観光をする人は、過去10年で50%増。観光は世界全体の輸出部門として第3位であり、総グローバルGDPの10.4%を占める。開発途上国を中心に、多くの国で優先分野と位置付けられる産業だ。

持続可能な開発のための2030アジェンダでも、観光は明確に触れられており、中核をなすSDGsの17のゴール中3つがこれに当てはまる。国連は2017年を「開発のための持続可能な観光の国際年」と定めていた。