サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

SDGs活用のための新たな指南書が登場

  • Twitter
  • Facebook
米国サステナブル・ブランド編集部
Image credit: United Nations Armenia

企業が競争優位になり、将来を考えたビジネスをするには、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)に取り組むことが最善策の一つだが、今のところ進展はあまり見られていない。(翻訳:梅原洋陽)

国連グローバル・コンパクトが6月に発表したレポートによると、多くの企業がようやくそれぞれのサステナビリティ戦略をSDGsに合致させ始めたが、この取り組みに参加している9000の企業の3分の1は測定可能なゴールを未だ設けておらず、55%しか進捗を確認していないようだ。

また、サプライヤーの業務内容を定期的に観察している企業は30%以下とも伝えている。CSRヨーロッパとグローブスキャンが伝えているように、中間管理職の関与の低さがSDGsを達成する大きな妨げとなっているということを考えると、この数字は驚くことではないのかもしれない。

持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は、この目標と実態のズレを埋めるために、英シンクタンク「アース・セキュリティ・グループ」の報告書「アース・セキュリティ・レポート2017」を支持。同報告書は、グローバル企業がそれぞれ展開する国において、リスクを回避しながら事業に関連するSDGsを活用し、企業の成長をソーシャル・インクルージョンや環境の安全性につなげる手順を示している。

WBCSDのピーター・バッカーCEOは、「アース・セキュリティ・グループは、成長とレジリエンスにSDGsが重要だと考える企業と共に、ビジネスモデルを再考するために、システム的なアプローチが必要だと強調している点を評価している。報告書は、一つの企業やステークホルダーだけではSDGsを達成できないことを改めて示している。正しいガバナンス、経済的インセンティブ、適切で強固な法的な枠組み、組織の健全な環境、そして官民の連携が不可欠だ」と話している。

事業を通してSDGs の達成を行うことに不安があるような場合は、ケンブリッジ大学のサステナビリティ・リーダーシップ研究所(CISL)が設立した新たな組織「経済調査グループの再構築」と多くのリーディングカンパニー(マークス&スペンサー、ジャガーランドローバー、テトラパック、ノボノルディスクなど)が共同で発表した報告書「持続可能な経済のために:企業がSDGsを実行するための規範」を読むと良いだろう。企業がSDGsの達成を目指すことで、どのような利益を期待できるかを明らかにしている。

CISLは、SDGsを確実に実施する機会を増やすために、企業は体系立てられた方法を取ることが必要だと報告書内で伝えている。同レポートは、SDGsは相互依存性の強い目標であるため、企業にとって簡単なものばかりを選り好みするべきではないと注意を促している。企業はSDGsを将来的に必要なものだと再認識することが大事だ。

同レポートは、SDGsをビジネスの文脈に合わせた実行可能な計画に変える方法を提案し、企業が効率的かつ強調的にSDGsと向き合うことを促している。そして、企業のリーダー達がそれぞれの状況を調査し、変化の可能性を模索することを求めている。

CISLのプログラム・ディレクターであるアリス・ヴレットス氏は、「SDGsに取り組むことは、構造変化を必要とするだけでなく、変化をさらに引き起こすことだ。共通のリスクやチャンスをマネージメントしていくために、企業や政府、投資家、そしてその他のステークホルダーが効率的かつ組織的に協力していくべきだ。報告書では、分野に関わらずに、先行者利益があると報告されているが、本当の恩恵は持続可能な経済に必須のビジネス環境を整えていけるかにかかっているかもしれない」と語った。

「経済調査グループの再構築」は、SDGsを推進していく上で企業の役割を探求するために組織された。同グループは現在のままのビジネスが展開されていった場合と、サステナブルな取り組みがなされた場合とで、2030年までにさまざまな分野でどのような影響が出るかをSDGsを手引きにシュミレーションしている。そのシュミレーションによると、先進的な企業ほどSDGsを達成することで得られる利益が大きく、達成できなかった場合でもビジネス的にダメージを軽減でき、よりレジリエントがあるという。

企業やブランドはSDGsを実行していくために行動を変革していく必要があるが、今後の産業を形づくっていくような多くのビジネスモデルや実践がすでに生まれつつあると報告書には書かれている。早期導入者は利益を得ていくだろうが、SDGsを受け入れていけない企業はチャンスを逃すこともあるだろうと同レポートは伝えている。

報告書は、リーディングカンパニーがどのように企業内、セクター内、そしてより大きな領域で変革を起こしているかを紹介している。8つの企業主導の戦略は、SDGsを実行していくための組織的な変化の道しるべとなるだろう。戦略に取り組むことは、企業やリーダーにとってはもちろん容易ではない。しかしリーディングカンパニーは変化への道を模索し、SDGs実施による利益を得ることに貪欲であり、そして強い興味をもっているとCISLは報告書内でまとめている。

テトラパックの環境部長のマリオ・アブレイユ氏は、「政策立案者は同じセクター内の企業から矛盾するストーリーを聞くことがあるでしょう。異なる環境に置かれ、サステナビリティに向けての意欲もさまざまだ。誰のストーリーに耳を傾けるべきか。企業としては、合意点を探し出し、私達のセクターとステークホルダーにとって有益で、さらに長期的、協調的な戦略を提案していくことが大切だと考えている」と語った。