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クラウド型調達管理システムで現代奴隷のリスクを排除

Nithin Coca
Image credit: SAP Ariba

過去10年間で問題となってきた児童労働と現代奴隷は、世界中の多くの企業のサプライチェーン上に存在する。国連は1億6800万人の子どもが児童労働の被害者であり、豪NGO「ウオーク・フリー・ファンデーション」の統計「グローバル・スレイバリー・インデックス」は4580万人が奴隷状態だと伝えている。(翻訳:梅原 洋陽)

児童労働と現代奴隷を減らすには、ビジネス業界全体での取り組みが不可欠だ。米SAPアリバのクラウド型調達管理システムは、この問題の解決に役立つ可能性を秘めている。同システムは200万以上の世界中の買い手と売り手を繋いぎ、取引額は1兆ドル(約108兆円)を超す。

「この金額はイーベイとアマゾンの取引額の合計の2.3倍の額です。私たちはエシカル・ソーシング(倫理的な調達)に大きな影響を与えられるはずです」とSAPアリバの生産・イノベーション担当部長であるパドミニ・ランガナタン氏は語った。

調達担当者たちのリスク管理の要求に応え、SAPアリバは2016年度末にクラウド型調達管理システムの販売を開始した。このサービスは企業がサプライチェーンを決定する時に利用できる情報量を増やすことと、サプライチェーン内での就労法違反のリスクを減らすことを目的にしている。

「私たちが行なっていることは、情報を集めている人たちを統合することです。多くの企業が矛盾する情報や、断片的な情報しか得られないという課題を抱えています。NGOやメディアからの情報は事後報告であることが多く、決定を下す時には知らなかったということがよくあります」とランガナタン氏はいう。

SAPアリバのクラウド型調達管理システムは、企業にとって最も重要な場面で必要となる情報を提供することを目的としている。そのために、さまざまなデータを多くのパートナーから集めている。パートナーの一社に、サンフランシスコを拠点とする米ソフトウェア会社メイド・イン・ア・フリー・ワールド(Made in a Free World)がある。同社はサプライチェーンのリスクを透明化する革新的なプラットフォームを提供している。

SAP アリバのシステムを初期段階から導入している企業の一つにニールセン・メディア・リサーチがある。同社は視聴率調査会社として知られており、サプライチェーンのリスクとは縁遠いように感じるかもしれない。しかし、ニールセンはテレビ関連のいくつかの製品を製造している。例えば、テレビの上に置かれる、ケーブルテレビや電話回線等と接続する機器などがあり、製造の過程で生じるさまざまなリスクを抱えているのだ。

ニールセンのサプライチェーン・リスク・マネージメント部長を務めるジェームス・エドワード・ジョンソン氏は、「ニールセンは高いリスクを抱えている企業ではきっとありません。私たちの会社には、農業や採掘に携わるサプライチェーンはありません。しかし、製造自体は行っています。電子装置製造産業に存在する悪しき慣習を促すようなことはしたくありません」と話す。

ニールセンにとってのSAPアリバのシステムを活用する本質的なメリットは、リスク・マネージメントを単なる一部の人達の関心事から、企業全体の関心事項へと変化させ、さらに、調達に直接関わっている人たちを巻き込むことができる点だろう。

「SAP アリバの導入で、異なる視点で情報を捉えられるようになってきました。部品調達を担当するマネージャーたちがサプライヤーリスクの現実を見ることができます。彼らは、私たちがつくり出しているさまざまなデータを即座にチェックすることができます」とジョンソン氏は語った。

そして、「消費者の透明性を求め、倫理的な製品を望む傾向は強くなっています。より多くの企業がサプライチェーン・マネージメントについて真剣に考えるべきです。気付かれずにやり過ごすことはどんどん難しくなっています。買っている製品に何が入っているかを気にかける消費者は増えています。消費者は何を買うにしてもラベルを読むようになっていますから」と続けた。

SAPアリバはそれ単体では解決策ではなく、道具の一つである。しかし、企業がどのような行動を起こすべきかを伝えることができ、変化を生むものなのだ。SAPアリバのサービスの機能を向上させ、より多くのデータを提供することで、少しでも多くの企業が行動を起こせるようになることをランガナタン氏は望んでいる。

「行動を起こしたいけれど、自社のサプライチェーンの実態を知ってしまうことが恐いという話をよく聞きます。より多くの企業が正しい行動を取り、責任を取っていくことを望んでいます」とランガナタン氏は述べている。