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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

2017年、消費者がブランドに求める4つのこと (1)

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Simon Mainwaring
Image credit: Unilever

どの企業の経営者も、消費者それぞれが考えるグッド・ライフ(良い暮らし)のために必要な企業でありたいと望んでいる。しかし、グッド・ライフの意味は時代とともに変化している。(翻訳:梅原 洋陽)

変化し続ける消費者の需要こそが、人々が望む生活を送るために必要な製品やサービスを生むきっかけになっているが、消費者が現在求めているものや将来欲するものを予測できる方法は存在せず、こうした不確実性はブランドにとってリスクとなる。

今日の目まぐるしく変化するビジネス業界において、1960年代では60年だった企業の平均寿命は2017年の今では12年になっている。企業の崩壊はピークに達している。

2017年の今、消費者が何を求めているのかを理解するために、サステナブル・ブランドと米世論調査機関ハリス・ポール社は1000人以上のアメリカ人の成人を対象に、「グッド・ライフ」を再定義するための共同調査を行なった。

その報告書「グッド・ライフを実現するために(The Enabling The Good Life report) 」によると、調査対象者の71%は、「グッド・ライフ」の定義が親世代とは異なると考えており、45%は彼ら自身の子どもとも異なる定義を持つと考えていることが分かった。

「グッド・ライフ」のあり方が変化していることは明らかではあるものの、さまざまな年代や異なる政治的思想の持ち主が同じ様に重要視している4つの項目がある。1.調和のとれたシンプルさ、2.有意義な繋がり、3.独立採算、そして4.個人の目標である。

ブランディングの観点からすると、消費者が理想的なライフスタイルを実践するために必要な製品やサービスを提供できる企業は競争の中で優位になるだろう。実際に、調査に参加した80%の回答者は、グッド・ライフをおくるための手助けをしてくれるブランドに対して忠誠心を抱くと述べている。

この事実はあまりに当然のように聞こえるかもしれないが、ほとんどの企業が消費者のグッド・ライフにどのように貢献できるかというメッセージを伝えられないでいる。実際に、65%の回答者は製品やサービスがグッド・ライフをおくるための助けになっていないと感じている。

いったい、何が鍵なのだろうか。どうやったら消費者が望んでいる生活を送るために必要な製品を提供しながら、パーパス主導型の企業として他の企業との差別化を図れるのだろうか。

2017年に、ブランドが消費者のグッド・ライフのためにできる4つの鍵がこれだ。

1. シンプルで意義のある生活をおくる手助けをする

企業の成功とは、もはや財政状況だけで判断することはできない。消費者は時代や環境の変化に左右されずに、安らかで身近な世界と調和のとれた生活を望んでいる。

内面的な心の安定と生きやすさを望んでいる人は多い。物事をよりシンプルにする製品やサービスは競合他社に勝ることができる。

  • 事例:ミートマインドフル

調和のとれたシンプルさをサービスにうまく取り入れているサービスソフトフェアの企業にミートマインドフル(MeetMindful)がある。浅はかな出会いを絶えず生み出していると批判されがちな出会い系サイトとは異なり、ミートマインドフルは独身の人たちが似ている価値観を持った、外見的な魅力よりも意義のある繋がりを重視するパートナーを探すのをシンプルな手順で探すことができる。

この事例から学ぶべきことは、シンプルさとマインドフルネスを兼ね備えた製品やサービスを提供できる企業は市場において優位に立てると言うことだ。

2.有意義なつながりをつくる

有意義な結びつきとは、単なる気持ちの良い顧客と従業員の関係だけのことではない。消費者は他の人々とつながりを持つだけではなく、自身の関心事のために他者と結束し、そして意義のある事柄に一員として参加したいと願っている。

有意義な関係にはさまざまな形がある。消費者が非営利組織でボランティア活動をする助けや、文化的な対話の機会を促したり、心が温まる社会にとって良い行いについてストーリーを共有することなどがある。

  • 事例:インスタグラム

人々の有意義な結びつきを促している素晴らしいブランドの一つが、写真共有SNSのインスタグラム(Instagram)だ。

SNSは、真実を表していないとか他者との比較や虚しさを引き起こすという批判を受けているが、純粋なディスカッションやSNSが無ければ存在しないであろう出会いのチャンスをつくり出してもいる。

インスタグラムが精神的な病気についての理解を広め、サポートをしていくために行ったキャンペーン「#HereForYou」は、インスタグラムがどのように人々が知恵や苦しみを共有する場所をつくり出しながら、サポートのためのコミュニティを築いていけるのかを示した模範的なケースだ。

突き詰めると、消費者と消費者が持つネットワークや他者、そしてより大きな文化的な運動との結びつきをより強められるブランドがグッド・ライフに貢献しているとの評判を得られるだろう。

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Simon Mainwaring
米国ブランドコンサルティング・We FirstのCEO。We Firstは、パーパス・ドリブン・ブランディングの先駆者で、成長を加速させ、影響力を高めるパーパス(企業の存在着)の定義づくりや広報活動を手掛けている。