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ステラ・マッカートニー新広告、過剰消費と廃棄に警鐘

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米国サステナブル・ブランド編集部
Image Credit: Stella McCartney


英ファッションブランドのステラ・マッカートニーが7月19日、「過剰消費」と「廃棄」をテーマにした秋冬コレクションの広告を発表し、話題になっている。同広告の撮影場所は、スコットランド東海岸のごみ廃棄場だ。(翻訳・編集:小松 遥香)

サステナブルでエシカルなファッションブランドとして知られるステラ・マッカートニーは、高級ブランドでありながらも、「素材を集めて商品をつくり、つくっては廃棄する」という線形経済から抜け出す挑戦をしている。実際、数か月前には、海洋環境保護に取り組む団体が開発した海洋廃棄されたプラスチックから生まれたリサイクル繊維や、ナイロン製の廃棄物を再利用してつくったリサイクルナイロン繊維ECONYL®を使って商品をつくることを発表した。

今回の広告は、「世界中で日々、いかに多くのごみが廃棄されているか」、そして「私たちの世代が後世にどんなものを残そうとしているか」を力強いメッセージで問いかけている。

デザイナーのステラ・マッカートニー自身は、「私たちがどうなりたいか、どう行動を起こすかをこの広告では描いた。私たちは、他の生物や地球と人間を切り離して、人工的な環境をつくってきた。これが廃棄物が生まれる理由なのだ」と説明している。

広告のテーマだけでなく、今回の秋冬コレクションの商品自体も、オーガニックコットンやリサイクルナイロン、植物素材で使用したベジタブルレザー、リサイクル繊維を使ってつくられている。今や、同ブランドの婦人服の53%は、新たに開発されたリサイクル素材でつくられている。

増えるプラスチックの消費量

Image Credit: Stella McCartney

循環型経済を推進する英国エレン・マッカーサー財団は、プラスチック製品の数が2050年までに3倍に増えるとの予測を出している。現在の消費パターンやデザインから廃棄までの過程を見直し、何らかの対策を今取らなければ、海には魚よりもプラスチックごみの方が多くなる。

今回のキャンペーンのように考えさせられる広告は、メディアにも取り上げられる。女性ファッション誌マリー・クレールの米国版が最新の8月号で初めてのサステナビリティ特集を行ったことや、H&Mが二酸化炭素の排出量を削減すると約束したことは、循環型でサステナブル社会に移行していくための重要なきっかけになるといえる。しかし、まだ十分とは言えない。

ステラ・マッカートニーは、「地球上には、大惨事につながる消費や廃棄の問題がある。年間、約3億トンのプラスチックが製造されており、そのプラスチックなどの使い捨て商品は、最終的にごみ廃棄場に流れつく。今、動き始めなければならない」と強調した。

今回の広告は、ビジュアルアーティストのウルス・フィッシャーや写真家のハーレー・ウィアーと制作した。

「ステラ・マッカートニーのファッションには、尊厳と愛、美しさを持って、あらゆる挑戦に対して立ち向かう姿勢がある。そして、醸し出される雰囲気の良さとビジュアルの良さもある。それを今回の広告でも伝えたかった」とビジュアルアーティストとして参加したウルス・フィッシャー氏は話している。