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気候変動問題に立ち上がる、大手チョコレートブランド

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Hannah Furlong

コロンビアのカカオ農園 Image credit: U.S. Agency for International Development (USAID)

カカオが生産される場所は、手にチョコレートをのせるとすぐに溶けてしまうような熱帯の国だ。しかし、カカオの生産は危機に直面している。数十年もすれば気候変動の影響により、同じ場所での栽培が難しくなるという。

カカオはコーヒー豆の栽培地よりも温暖で、湿度のある場所で生産される。気温が高くなればなるほど蒸発量が上がるため、より多くの水分が必要とされるが、それをまかなえるほどの雨量は期待できない。

カカオやチョコレートを取り扱う企業も、気候変動によってカカオ栽培が危機に陥ることを十分認識している。

世界カカオ財団は5月31日、官民が一体となって解決策を模索し、カカオ農家の生活を守るための新たなプログラムを立ち上げた。気候モデルを参考にして対策案を考えると、栽培する作物や収穫方法を変えるか、環境の変化に適応した生産管理を行っていかなければならない。

世界のカカオの70%は西アフリカで生産されている。中米も西アフリカより少ないものの近年急速に増加している。財団は、元々目標として掲げているコートジボワールやガーナ、リベリア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ホンデュラス、ニカラグアなどの小規模カカオ農家の生産性の向上も進めている。

国際熱帯農業センター(CIAT)のマーク・ランディ氏は「2030年までの間に気候変動によって西アフリカのカカオ産業が受ける影響は計り知れません。雨量が変わっても、気温が上昇しても、現在植えているカカオが育つようにしなければならないのです。この取り組みは非常に大切です。民間企業は意思決定プロセスにおいて気候変動問題に十分配慮し、公的機関や資金提供者とも協力していく必要があります。そして、何よりも、農家や企業、消費者の未来のためにどんな課題にも立ち向かえるカカオ業界への集合投資を促していかなければなりません」と話した。

世界カカオ財団の加盟企業には、ゴディバやリンツ、ネスレ、スターバックスなど世界のチョコレートブランドが名を連ねる。日本の大手菓子メーカーや商社も加盟している。加盟する民間企業は共同で気候変動がもたらすカカオへの影響と農家支援のために改革を進めていく。

また、専門家の指示を仰ぎながら、カカオを生産する地域の森林破壊の解決にも取り組むという。

世界カカオ財団のティム・マッコイ氏は、「気候変動問題への取り組みは、カカオやチョコレート産業、農家、業者、生産国にとっても最優先事項です。もちろん国際社会にとってもです。今からこの問題に取り組むことは未来に備えることであり、強固な民間組織の基盤を築いていくことに繋がります。環境に適したカカオの栽培に取り組むことは、カカオ部門の持続可能性を高める重要な一歩です。そして、業界がひとつになって、昨年のCOP21パリ会議で話し合われた気候変動の現実に向き合っていくことでもあります」と述べた。