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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

2016 SBサンディエゴ会議レポート(3)

Nicole Cruz
Images credit: The Chemical Footprint Project

健康関連ブランドの未来を変える、ケミカル・フットプリント・プロジェクト

化学物質がもたらす人体や環境への影響は計り知れない。毎年3,000種類以上の化学物質が市場に出回るものの、健康への影響をまともに検査したものはわずか数パーセントしかない。

こうした実態をふまえて、環境NPOのClean Production Actionとマサチューセッツ大学ローウェル校のサステナブルプロダクション研究センター、サステナビリティ・コンサルティング会社のPure Strategiesは、ケミカル・フットプリント・プロジェクト(CFP)を共同で立ち上げ、化学物質の人体と環境への影響の調査をしている。

ケミカル・フットプリントへの関心は高く、サンディエゴ本会議でもトークセッションが設けられた。

参加したのは、サステナビリティ・コンサルティング会社ピュア・ストラテジーズ(Pure Strategies)の取締役ティム・グレイナー、ジョンソン・エンド・ジョンソンの環境関連部門の専務理事アル・イアヌジ、保険会社大手カイザーパーマネンテで環境に配慮した消費事業を率いるバネッサ・ロッホナー、そして化粧品会社ビューティーカウンターの健康・安全部門の部長ミア・デイビスだ。

CFPの設立目的は3つある。まず、人や環境にとって害のある化学物質をなくすこと。化学物質に起因する癌や不妊、ぜんそく、学習障害の発生率を早急に減らすこと。そして、政府やマーケットが積極的に有害な化学物質が含まれていない製品の促進を行うことだ。

この目的を達成するために、CFPは分野の異なる企業の製品と企業活動について化学物質の安全性を検査するベンチマークをつくった。

今日、赤ちゃんでさえ200以上の合成化学物質にさらされて生まれてくるという。Pure Strategiesのグレイナー氏は、「こうした現状は、企業が発展するうえで重大な危機でもあり、同時に重要なチャンスにもなりうる」と話した。

これは投資家にとっても見過ごせない問題でもある。企業が使用する化学物質がどれほど有害なのかも知らずに、企業活動を正確に評価したり、ブランドのリスクと負債を理解できるはずもないからだ。

5月19日、CFPの第1回年次報告書が発表された。パーソナルケアや家庭用品など7部門から24社が掲載されている。一番評価が高かったのは、米国の化粧品会社ビューティー・カウンターだった。

他の企業はどうだろう。

保険会社であるカイザーパーマネンテが患者に直接害を与えることはない。しかし、同社の担当者ロッホナー氏によると、医療サービスの提供者は、化学物質などの環境的要素が慢性疾患を引き起こす主要因となっていることを認識しているという。

製品の環境的側面は購入の際に重要視されてこなかったが、今後、カイザーパーマネンテは製品と企業の姿勢についても徹底した調査を行い、環境と保険加入者にとっての本当の意味での安全に取り組む予定だ。

医薬品業界で最大手のジョンソン・エンド・ジョンソンは、組織の大きさと製品ラインナップの幅広さゆえに対策が難しい。しかし、CFPに参加し、今回の報告書で調査されたことにより、同社はほかの大企業にとっても学びのある前例を示すことができた。

ビューティー・カウンターの創設目的は、「機能性で妥協することなく、安全な製品を作る」というものだ。

担当者のデイビス氏によると「化粧品業界は規制がなく野放し状態の産業です。化粧品の規制法は1938年に制定されて以来、約80年も変わってないのです」という。

化粧品会社はいくらでも有害な化学物質を使用して製品を作れる。赤ちゃん用シャンプーに発がん性物質を使用することもできるのだ。

ビューティー・カウンターでは、20,000人いる販売員は製品を売るだけでなく、化学物質とその安全性について店頭で説明するなど教育的役割も担っている。

今回のトークセッションに参加した4社は、将来的に人類の健康において大きな功績を残す企業となるだろう。