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国際

世界で最も持続可能な100社発表 1、2位は豪のリサイクル企業 日本はエーザイなど3社に

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カナダのメディア・投資調査会社「コーポレート・ナイツ」はこのほど、2024年の『世界で最もサステナブルな企業100社(グローバル100インデックス)』を発表した。売上高が10億ドル以上の上場企業6733社の1位2位は、いずれもオーストラリアの金属リサイクルを手掛けるシムズと、コンテナ・ロジスティクスのブランブルスで、廃棄物を新製品にリサイクルする循環型経済に関連する企業が増えていることを象徴する結果となった。日本企業は昨年5社がランクインしていたが、今年はエーザイ(35位)とリコー(72位)、シスメックス(100位)の3社だけとなった。調査は、「気候危機が世界中に甚大な被害をもたらすなか、クリーンエネルギーのような投資テーマは飛躍的に成長しており、上位100社はセクターを問わず、そのけん引役になっている」としている。(廣末智子)

「グローバル100」とは、売上高10億米ドル以上の上場企業6000社以上を対象に、環境・社会・ガバナンス(ESG)などの観点から持続可能性を評価し、上位100社を選出しているもの。毎年のダボス会議に合わせて1月に発表されており、今年が20回目となった。コーポレート・ナイツによると、2005年からの総投資収益率は、世界の主要株で構成するMSCI全世界株指数(ACWI)が272%で、グローバル100は287%という。

トップ 20
1位:シムズ (オーストラリア、金属リサイクル)
2位:ブランブルズ (オーストラリア、コンテナ・ロジスティクス)
3位:ヴェスタス・ウィンド・システムズ (デンマーク、機械)
4位:台湾高速鉄道 (台湾、鉄道)
5位:ノルデックス(ドイツ、機械)
6位:ブラジル銀行 (ブラジル、金融)
7位:シュナイダーエレクトリック (フランス、産業コングロマリット)
8位:クリスチャン・ハンセン (デンマーク、食品・飲料)
9位:スタンテック (カナダ、コンサルタント・サービス)
10位:SMAソーラーテクノロジー(ドイツ、ソーラーエネルギー機器)
11位:オートデスク (米国、ITサービス)
12位:WSPグローバル(カナダ、ビジネス、エンジニアリング)
13位:クリーンハーバーズ(米国、廃棄物管理)
14位:エンフェーズエナジー(米国、半導体・電子部品)
15位:エリクソン(スウェーデン、通信機器)
16位:サンパワー(米国、半導体・電子部品)
17位:オーステッド (デンマーク、発電)
18位:アルストム(フランス、非道路輸送用機器)
19位:ネステ(フィンランド、石油化学)
20位:ダッソー・システムズ (フランス、ITサービス)

詳細

日本企業
35位:エーザイ(製薬)
72位:リコー(機器メーカー)
100位:シスメックス(電子機器)

昨年のランキング

収益に占める持続可能な分野の割合、『経済全体の6倍』に加速

調査の結果、売上高10億米ドル以上の上場企業全体では、投資における持続可能なプロジェクト(環境・社会への貢献度の高い製品やサービスの構築など)の割合は17%にとどまるが、上位企業では前年の47%を上回る55%に上った。

この傾向について、コーポレート・ナイツの調査マネージャーを務めるマシュー・マリンスキー氏は、「企業が低炭素経済へと方向転換していることを示す歓迎すべき兆候だ。これらの企業が持続可能な設備投資と研究開発により多くの資金をつぎ込んでいる事実は、近い将来、その分野による収益が一層高くなることが期待されることを意味する」と話す。

調査が始まった2005年当時、多くの企業は統合報告書などを発行しておらず、収益や投資のうち、「グリーン・ビジネスへの割合」は報告されていなかった。そうしたなか、コーポレート・ナイツでは、限られた定性的な企業情報開示を用いて調査を行ってきたが、現在では大多数の企業のグリーン・ビジネスへの割合を測定できるようになり、「一部の企業では、その比率が3年間で20%、30%、そして50%へと増加するのを観察してきた」と振り返る。さらに、その総額は年間数兆ドルに達するなど、「経済全体の 6 倍の速さで成長している」という。

『ピボット賞』に28位の伊企業 “持続可能なビジネスモデルへの移行完了”評価

またコーポレート・ナイツは、今回、28位だったイタリアのエネルギー企業、ERG SpAを『ピボット(路線変換のような意味)賞』に選んだ。同社は2013年に石油資産を売却して以降、「非再生可能資産」を売却するために努力を重ね、最終的に2023年6月にガス火力発電所を売却し、CEOが声明で、「純粋な風力発電と太陽光発電のビジネスモデルへの転換が完了した」と述べていた。そうした経緯が"持続可能なビジネスモデルへの移行は可能であり、利益を生むことを示している”と認められての受賞で、コーポレート・ナイツは「ERGは来年、間違いなく順位を上げるだろう」と予測している。

性別・人種の多様性に引き続き遅れ、前年までランクインの企業の多くが圏外に

一方、今回の調査で、ESGの総合指標は、グローバル100のスコアが他の上場企業をはるかに上回り、例えば上場企業全体では役員報酬をESGの目標の達成と紐づけている企業はわずか30%だったのに対し、グローバル100の79%はサステナビリティに連動した報酬体系を導入していた。性別と人種の多様性についても同様の傾向がうかがえる。グローバル100の取締役会のうち、性別が多様な取締役会は35%で、それ以外の上場企業では25%だったが、コーポレート・ナイツは「人種の多様性は、グローバル100でも、上場企業全体でも、引き続き遅れをとっている」としている。

また今回の調査では、日本企業では前年まで5年連続でランクインしていた積水化学と、昨年50位だったコニカミノルタがランク圏外となった。世界的にも多くの企業がリストから外れた理由について、コーポレート・ナイツは、「持続可能な資金調達への取り組みの停滞」などを挙げ、「サステナビリティのリーダー企業の収益性と確実な投資収益は、後進企業にとって重要なシグナルとなる。ネットゼロの世界目標に向け、クリーンエネルギーへの移行を着実に進める企業は報われるだろう」とレポートをしめくくっている。

評価方法

ランキングの調査対象は、総売上高10億ドル以上の上場企業約6000社。企業が開示する財務報告書やサステナビリティ報告書、ウェブサイトの情報などをもとに25の主要なパフォーマンス指標から各社を評価している。

評価指標に含まれるのは、資源管理、従業員管理、持続可能な収益、持続可能な投資、サプライヤー・パフォーマンスなど。気候変動政策を妨害したり、森林破壊に加担したりするような「レッドフラグ」活動を行う企業は失格となる。持続可能な解決策を事業の中核に据え、GHG排出量を削減するために有意義な投資を行う企業だけが評価を得ることができる。

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーを経て、2022年10月からSustainable Brands Japan編集局デスク兼記者に。サステナビリティを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。