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ユニリーバ、気候変動や環境再生を重視したサステナビリティ目標を発表

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ユニリーバは15日、気候変動や地球環境の再生(リジェネレーション)に重点をおいた新たなサステナビリティ目標を発表した。2023年までに森林破壊を一切行わないサプライチェーンを構築し、2039年までに原料の調達から店頭販売までの過程で製品から生じる温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指す。さらに、すべてのサプライヤーに土壌や生態系を保全する環境再生型農業を促進していく方針。新型コロナウイルス感染症に関心が集まりがちないまこそ気候変動や自然環境の保全や再生に取り組み、地球を健全な状態に戻していく必要があると呼びかける。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=小松遥香)

ユニリーバは今年5月、10年間にわたり取り組んできたサステナビリティの長期戦略「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」に一つの区切りをつけた。同社が擁するブランドの中でもサステナビリティに取り組むブランドはこの10年間で急速に成長。サステナビリティを経営に統合することが成長につながることを示し、同社は世界的にサステナビリティの先進企業として知られるようになった。アラン・ジョープCEOは同戦略を自社のビジネスにとって「ゲームチャンジャ―」だったと評している。

同社は今後、ブロックチェーンなどの技術を用いてトレーサビリティを強化することで2023年までに森林破壊を行わないサプライチェーンの構築を行い、2039年までに製品から生じる温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ゼロエミッション」に取り組む。排出量削減の動きを加速させるため、製品にカーボンフットプリントを明示する方針で、サプライヤーが発行する請求書にカーボンフットプリントを記載してもらうという。

今回の目標の中でも注目すべきは地球環境の再生だ。同社はサプライチェーンにおいて、土壌や生態系を保全し、より回復力のある地球環境や地域社会をつくる環境再生型農業を導入する。そして農業環境の保全・再生を目指し、土地の権利の保護や資金調達などの包括的な支援を行い、次世代の農業従事者や小規模農家が自ら自然環境を再生する農業を行っていけるようにするという。

さらに気候変動と自然環境の再生に向けた取り組みを加速させるために、総額10億ユーロ(約1200億円)を「気候&自然基金(Climate & Nature Fund)」に投資する。森林再生や炭素隔離、野生動物の保護などに活用される予定。また水の保全にも力を入れ、世界人口の約40%が水不足の影響を受ける中、2030年までに水問題を抱える地域のうち100地点で水管理プログラムを実施するなどして取り組んでいく。

アラン・ジョープCEOは「気候変動や自然の劣化、生物多様性の減少、水不足など、すべての問題は互いに関連しており、私たちはすべてに同時に対処しなければならない。気候危機は環境面の非常事態であるだけでなく、私たちの生命や暮らしに甚大な影響を与えるもの。ブランドによる直接的行動を通して、この危機に取り組む責任がある」と話している。

小松 遥香 (Haruka Komatsu)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。