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ユニリーバ、2025年までに新品のプラスチック使用量を半減へ 

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ユニリーバは7日、2025年までに新品のプラスチック使用量を半減し、商品に使用する量を上回るプラスチック包装材を回収する新たな方針を発表した。同社では包装材として、年間70万トンのプラスチックを使用。2025年までに無包装での販売などを増やし全世界で10万トン以上のプラスチック包装材を削減し、リサイクルプラスチックの使用を加速することで、プラスチック使用量の絶対数を減らす。廃棄管理への投資も進め、年間60万トンのプラスチックを回収・処理していく計画だ。アラン・ジョープCEOは、「包装や製品の方針を抜本的に見直し、これまでにないスピードと密度で、革新的な包装材の開発や新たなビジネスモデルを構築する」と話している。(サステナブル・ブランド ジャパン=小松遥香)

同社は2017年、2025年までにすべてのプラスチック包装材を再使用、リサイクル、堆肥化できるものにし、同年までにすべてのプラスチック包装材の少なくとも25%をリサイクルプラスチックにする方針を掲げている。

同時に、「Less, Better, No (プラスチック使用量を削減、より環境にやさしいプラスチック、脱プラスチック)」というプラスチックの枠組みを定めた。洗剤を濃縮することで製品を小型化させてプラスチック使用量を削減したり、これまでリサイクルできなかった黒色のプラスチックに対して新たな色素を開発することでリサイクルを可能にしたほか、固形シャンプー、紙製の容器に入った固形デオドランド、詰め替え可能なタブレット歯磨き粉、竹の歯ブラシなどの革新的な製品を市場に投入してきた。

今回も、包装材に使うプラスチックを絶対量として10万トン削減するために、再利用できるパッケージ、詰め替え用パッケージ、プラスチックの代替素材への切り替え、無包装での販売、製品の濃縮小型化などへの投資を行う方針。毎年、新品の包装用プラスチックの使用量を測定し、2025年までにその使用量を35万トン以下に抑えるという。使用量を上回るプラスチックの回収・処理については、投資を増やすほか企業などと連携して実施していく。

アラン・ジョープCEOは「われわれが目指すのは、プラスチックがサーキュラーエコノミー(循環経済)に留まり、環境に放出されないようにすべての人が協働する世界だ。ユニリーバの製品に使われるプラスチックはわれわれに責任がある。だから、循環経済の実現に向けて、使用する以上に回収していく方針だ。簡単ではないが、やりがいがある。再生プラスチックの需要は世界的に高まるだろう」と話している。

サーキュラーエコノミーを推進する英エレン・マッカーサー財団の創設者エレン・マッカーサー氏は「ユニリーバの発表はプラスチックのサーキュラーエコノミーを生み出すための大きな一歩。詰め替えや再利用、濃縮などのイノベーションを通して、不必要なパッケージを削減し、再生プラスチックの使用を増やすことで、企業がどう新品のプラスチックから脱却するかという方法を示すことになる」とコメントを発表した。

世界の大手企業では、ネスレが2025年までに、P&Gが2030年までにすべての包装材をリサイクル可能なものか再使用可能なものにすることを発表している。

小松 遥香 (Haruka Komatsu)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。