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国際

世界のCEOの8割「企業のSDGsの取り組みは不十分」と認識

世界のCEOの約8割は「企業がSDGs達成に向けて重要な役割を果たせていない」と認識していることが分かった。国連グローバルコンパクトとアクセンチュアはこのほど、99カ国の1000人以上のCEOに対して行ったサステナビリティに関する意識調査の結果を発表した。同調査は、大多数のCEOがサステナビリティに取り組む重要性を認識しながらも実際には行動に移せていない現状と背景を明らかにしている。また88%のCEOは世界の経済システムは公平な成長に回帰する必要があると答えている。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=小松遥香)

先週、ニューヨークの国連本部では、各国の政府や企業のリーダーらがSDGs達成に向けた進捗の確認と今後の対策について話し合う「SDGsサミット」が開催された。今回の調査結果はそれに合わせて発表されたものだ。

サステナビリティに取り組む重要性へのCEOの認識は年々高まっている。報告書によると、CEOらは、ESG(環境・社会・ガバナンス)課題への取り組みや情報の開示、目覚ましいイノベーションやインパクトを起こすという点で先進事例を示すことは、競争優位につながると認識している。

「サステナビリティに取り組むことが事業価値に影響をもたらす」と答えたCEOの割合は増加しており、2013年に63%だったが2016年には69%、2019年には74%となった。「サステナビリティに取り組むことは企業の将来の成功にとって重要」と答えたCEOは94%、年間10億ドル(約1080億円)以上の収益をあげている企業では99%がそう回答した。

「サステナビリティに取り組むことが収益の成長につながっている」と回答したCEOは40%。ユニリーバではサステナビリティに配慮したサステナブル・リビング・ブランド製品の成長率が毎年伸びており、現在では成長率全体の75%を占めるまでになっている。同社のアラン・ジョープCEOはこれについて、「パ―パス(目的・存在意義)を持つブランドはそうでないブランドに一貫して勝る」と語っている。

語るだけでなく、リーダーに求められる実行

しかしサステナビリティに取り組む重要性に対する認識は上がっているものの、サステナビリティを事業運営に組み込んでいると回答したCEOは48%だった。さらにCEOの3人に1人が、サステナブルなビジネスへの最大の障壁として市場の関心が低いことを理由に挙げている。

SDGsに関する認識を見てみても、71%のCEOは「企業はSDGs達成のために重要な役割を果たせる」と考え、81%は「SDGs達成に向けて何らかの取り組みをしている」としながらも、79%は現実にはその役割を果たせていないと回答。例えば、「SBT(科学と整合する温室効果ガス削減目標)」を掲げている企業はわずか600社ほどで、認定を受けているのは258社に留っている。報告書はSBTへの関心が低下傾向にあると指摘している。

「残念ながら、多くの人は語っているだけだ。本当に必要なのは行動だ」――独大手電力企業RWE マーティン・シュミッツCEO

「今日の変化の速いビジネス環境において、行動を起こすタイミングというのは長期的というよりもむしろ『いま』だ」――印自動車大手タタ・モーターズ ギュンター・ブチェックCEO

不確実性に向き合い、挑戦する時代

CEOらは、2030年という未来について、地政学、テクノロジー、社会経済的にも不確定だとの見通しを立ており、企業はいままで以上に競争と挑戦が求められ、プレッシャーを感じる時代になっていくと見ている。

「不確実さと不安定さはわれわれが直面している最大の課題。不確実性は重大で、さらなる不安定性を生み出している」――カルバン・クラインを擁する米PVHコープ エマニュエル・キリコCEO

「技術革新はまたとない機会でもあるが、アクセシビリティの格差は無視できない問題。アクセシビリティがない人はこれまでにない危機に直面することもある。分断を軽減し、すべての人が等しくテクノロジーを利用できるようにすることは官民共通の目標だ」――仏ミシュラン フローレント・メネゴークスCEO

さらに最近の日本と韓国、アメリカと中国のように、政治的問題は企業活動に大きな影響を与える。「市場をとりまく政治的な不確実性が企業の競争戦略にとって最大のグローバル課題」と答えたCEOは63%、「サステナビリティの取り組みに尽力していても、政治的な不確実性がそれを削いでいる、無駄にしている」と答えたCEOは42%いた。

ジレンマを越えて、責任あるリーダーシップを発揮するには

55%以上のCEOが「長期的戦略目標に投資をしようと努める一方で、極端なコスト意識の下で事業を行うプレッシャーの中、ジレンマに陥っている」と回答している。しかし、CEOらは経済と社会の発展の分断を解消する必要があると考えているようで、88%のCEOは「世界の経済システムは公平な成長に回帰する必要があり、現在の経済成長モデルは問題の一部」と答えている。

世界のGDPの75%を民間企業が占めている。CEOらは、より多くの企業がさらなる行動を生むために必要「仕組みの変革」を行わなければ、SDGs達成が困難であることを認識している。CEOらはそれぞれの産業や同業者に対し、SDGs達成に向けて、これまでより踏み込んだ行動を起こし、軌道修正を行うよう呼びかけている。達成に向けて加速するには、以下の3点が必要となる。

1. 野心的目標を掲げ、インパクトを生み出す
リーダーは自らの組織の変化を生み出し、現状の市場システムを変えることで変化を導き出さなければならない。
2. コラボレーションに挑戦する
中心的存在であるならば、新しい方法で連携しなければならない。なぜならば意味のある変革は個人競技ではないからだ。
3. 責任あるリーダーシップを再定義する
リーダーは、2030年のSDGs達成に向けて取り組みを率先するために、チェンジエージェント(変革の担い手)の役割を引き受けなければならない。
責任あるリーダーシップに必要な9つの要素
・仕組みを変革する先駆者である
・サステナビリティの市場需要を推進する
・責任とサステナビリティの文化を築く
・課題を知り、科学的根拠に基づいたリーダーシップに努める
・より広い範囲で、生態系への責任を果たす
・競争せずに協働する
・一個人として、サステナビリティへの関心を高める
・サステナビリティに対する組織の責任を問い、投資家との関係を築く
・確実性を持って、変化を導く

小松 遥香

Sustainable Brands Japan 編集局デスク。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。