ロンドン大学、気候変動対策で牛肉を廃止、使い捨てプラ製品も課金へ
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英名門校のロンドン大学ゴールドスミス校は12日、気候非常事態宣言の一環として、新年度の9月から校内で、生産過程での二酸化炭素(CO2)の排出量が大きいハンバーガーなどの牛肉製品の販売をやめ、使い捨てプラスチックのペットボトル製品などを購入する際に10ペンス(約14円)を課金する方針を明らかにした。同校は、2025年までにCO2排出を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」を目指す。カリキュラムにも、全生徒が気候変動に関する科目を受講できる選択肢を設ける考えだ。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=小松遥香)
「われわれは、世界史の今後を左右する決定的瞬間に直面している」――。気候変動について、ロンドン大学ゴールドスミス校の学長に着任したばかりのフランシズ・コーナー氏はそう話す。
現在、ロンドンやニューヨーク、パリなど欧米を中心に、世界18カ国の925自治体が気候非常事態宣言を行い、その動きは世界的に拡大している。大学など高等教育機関では今年7月、世界の7000校以上が加盟する組織が連名で同宣言を行った。ロンドン大学ゴールドスミス校も加盟校の一つだ。
校内での牛肉製品の販売をやめると宣言したのは同校が初めて。英ガーディアン紙は『ネイチャー』の論文を引いて、大豆と比較し、牛肉が生産される過程で発生する二酸化炭素の排出量は73倍と説明している。最近では、こうした背景から、米国を中心に大豆たんぱく質を使った植物性代用肉を販売するビヨンド・ミートやインポッシブル・フーズなどの企業が台頭している。
フランシズ・コーナー氏(右)
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同校はこのほか、「使い捨てプラスチックのペットボトルやカップの使用をやめさせるため、それらを使用した製品を購入する際に10ペンス(約14円)を課金。その収益を生徒たちが行う環境保全イニシアティブの資金にまわす」「キャンパスに導入する太陽光パネルを増やす」「できるだけ早く、100%自然エネルギーに切り替える」「植物が二酸化炭素を吸収できるように、土地への投資を継続する」「全生徒が気候変動に関連する教科を受講できる選択肢を設け、個人や団体として二酸化炭素を削減するための役割を担う」という方針を掲げている。
さらに同校の基金は、今年12月から、石炭火力事業で収益の10%以上を上げている企業への投資をやめるダイベストメント(投資撤退)を始める。それに先駆けて最近、すでに250万ポンド(約3億2060万円)を、大規模なダイベストメントを行ったCCLAチャリティ・エシカル投資ファンドに移したという。
コーナー氏は、「気候変動を止めるために大学などの組織が社会的責任をとるよう求める声が増えてきていることを無視はできない。生徒も教授も、将来の地球環境を真剣に守りたいと考えている。できるだけ早く、二酸化炭素の排出量を大幅に削減していく決意だ。気候非常事態宣言を口先だけのものにしてはならない」と語る。