• 公開日:2017.03.02
香港上海銀行、森林破壊に加担する企業への融資を中止
    • クローディアー真理

    パーム油の原料となる、アブラヤシの実。食料品、化粧品、洗剤などと用途が広く、安価であるため、世界的に需要が多い (C) Lian Pin Koh

    HSBC(香港上海銀行)は1月中旬、森林破壊を招く活動を行う企業への融資を取りやめると発表した。国際環境NGOグリーンピースの助言に基づき、企業への融資方針の見直しを行った。特に、インドネシアにおけるパーム(ヤシ)油・プランテーションの不正拡大を助長する企業の資金源を断つのが狙い。同国で深刻化する森林破壊に歯止めをかけるための一策と、グリーンピースに評価されている。(クローディア―真理)

    HSBCは、パーム油生産が産地に経済的利益をもたらすことを認める一方で、法に則り、サステナブルに管理が行われない場合、弊害が生じることを指摘。「違法操業」「森林破壊の原因となる、保護価値の高いエリア・高炭素貯蔵量林・原生熱帯林の開墾と、森林の焼き払い」「泥炭地でのプランテーション開拓」「児童労働や強制労働・紛争地での操業・地元民の権利の侵害などの、人々や地域の搾取」といった行為を行う企業への融資の中止を決定した。

    既存の顧客企業、新規に融資を希望する企業は、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)の認証を得ることが義務付けられる。顧客をアブラヤシ生産者と搾油所、精製所と取引業者に二分。それぞれに対して設けられている3つのタイムフレームの内、各社は計画に沿うものを選び、提示されている条件を満たし、認証を取得する。

    インドネシアにおける森林破壊の速度はブラジルを超えていることが明らかになっており、そこに生息するオランウータンは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、絶滅危惧種から近絶滅種に昨年格上げされた。森林・泥炭地除去のための焼畑による煙害で、2015年東南アジアの早期死亡者数は10万人を超えている。

    グリーンピース・インドネシアのアニッサ・ラーマワティ森林担当者は、HSBCのこの取り組みを評価し、「世界展開する他行もこれに従う必要性を認識するはず」と、主要行の森林破壊阻止への第一歩を歓迎している。

    written by

    クローディアー真理

    ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。

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