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フランス

仏NPO、料理のCO2排出量計算ソフトを開発

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建物についているボン・プール・クリマ加盟店の赤と白のロゴと、フルコースでCO2排出900gを実現したマラケシュの高級レストラン「フーケッツ」のメニュー

フランスのNPOが、料理一皿あたりのCO2(二酸化炭素)排出量を自動的に計算できるソフトを開発した。ホームページ上で、食材、産地、保存法などを表から選んで入力すると、排出量が自動表示される仕組みだ。誰でも無料で利用できる。季節の食材や地域の食材を使うことでCO2を削減できることを飲食店や家庭で理解してもらい、排出量の少ない料理を作ってもらうのが目的だ。

仏NPO「ボン・プール・クリマ」は、気候変動を抑えるために、飲食店にCO2排出量を減らす料理を出すことを勧める活動を行ってきた。今回開発したソフトは、それを実践するためのツールだ。重量1kgで比べると、牛肉は約3 kg、天然魚は9.5 kg、鶏肉は4.5 kg、季節の野菜果物は0.5 kgのCO2を排出する。

野菜・果物・ハーブ、肉・卵・乳製品、海産物、その他(穀物・調味料など)の4分類から食材名を選び、重量を記入し、保存方法(常温、乾燥、缶詰、冷凍、冷蔵)、季節のものかどうか(季節、少し季節外、季節外)、産地(200km以内の地元産、欧州・地中海産、それ以外の外国産)を記入すると、CO2排出量が出る。魚は、産地と天然か養殖かを選ぶ。絶滅の危機にある魚は「避けるべき」、天然魚は「推奨」、養殖魚は「ほどほどに」と出る。

鴨ライスの例では、地元産鴨肉150gはCO2が881g、地元産米100gは336gだ。CO2の合計は1217gで、そのうち鴨肉が72%、米が28%と出る。

地元食材や季節の食材は国によって違う。最初はフランス用だけだったが、マラケシュで開催されたCOP22に合わせ、モロッコ用もできた。「普通のモロッコ料理の排出量は平均2500gだったが、マラケシュの高級レストラン「フーケッツ」で出したベジタリアン料理の排出量は900g以下だった」と、ボン・プール・クリマのジャン=リュック・フェサール事務局長は、野菜料理のほうが排出量は少ないと説明した。

羽生 のり子 (はにゅう・のりこ)

環境、エコロジー、農業、食物、健康、美術、文化遺産を主な分野とするジャーナリスト。1991年からフランス在住。環境ジャーナリスト協会、自然とエコロジーのジャーナリスト・作家協会、文化遺産ジャーナリスト協会(いずれもフランス)の会員。共著「世界の田園回帰」(2017年、農文協)。