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都電の東京さくらトラムが4月から100%再エネ運行へ 東京ガスが多摩川の水力発電の電気を供給

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三ノ輪橋~早稲田間の12.2キロを走る東京さくらトラム。今年4月から100%東京産水力発電の電気で運行される(写真と図はいずれも東京都交通局提供)

東京に残る唯一の都電として地域に親しまれる東京さくらトラム(都電荒川線)が今年4月から、全線で多摩川の流水を利用した再生可能エネルギー100%の電気で運行される。東京都交通局は1957年から水力発電による電気事業を手掛けており、現在保有する多摩川上流の3水力発電所で発電する年間約3万5000世帯分の使用量に相当する電気を、付随する非FIT非化石の環境価値を含めて2024年度から2年間、東京ガスに売却することがこのほど決定。これに伴い、東京ガスがさくらトラムに電気を供給する形で、都内における地産地消のクリーンエネルギー拡大につなげる。(廣末智子)

東京都交通局は、水力発電を「発電する際に二酸化炭素を排出することがなく、水の循環サイクルによって再生可能な、自然の恵みを最大限活かした環境にやさしいクリーンエネルギー」と説明。2021年度からは公募型プロポーザルによって“環境価値を積極的に活用する事業者”に売却し、都営バスの全営業所で“自らが再エネからつくった電気”として率先活用している。

2024年度は新たに東京さくらトラムも供給先として拡大することを条件に、2024、2025年度の2年間にわたる電気の売却先を募集し、小売電気事業者6社の中から、東京ガスへの売却を決めた。

発電所から最終需要家までの流れ
多摩川第一発電所

東京ガスによると、購入するのは、多摩川第一と白丸、多摩川第三の3発電所で発電された電気、合計約2.2億kwh。これらの電気を東京さくらトラムと都営バス営業所へ供給するとともに、年間約1億kwhの電気を都内の顧客向けに供給し、都内における再エネの普及拡大に貢献する。

東京ガスは2030年に向けた経営ビジョン「Compass2030」の中で、「価値共創のエコシステム構築」と「CO2ネット・ゼロへの挑戦」を掲げて地方自治体やさまざまなパートナー企業との協業を進めており、東京都交通局との契約もその一環。2020年度からは「トラッキング付FIT非化石証書」を用いた実質再エネ100%の電気の供給を行っており、多摩水系の3水力発電所由来の電気の活用を通じて、「より一層、再エネの認知度向上と有効活用を推進する」考えだ。

2017年から東京さくらトラムを愛称とする都電荒川線は、東京に残る唯一の都電であり、三ノ輪橋~早稲田間の12.2キロを路面電車が走る光景は、四季折々に沿線の住民の目を楽しませる。このさくらトラムが都内の電車としていち早く再エネ100%で運行されることについて、東京都交通局車両電気部の発電担当者は、「都の再エネ活用の率先行動の一環だ。都民に馴染み深い東京さくらトラムを100%東京産の水力発電由来の電気で運行することで、都の再エネに対する取り組み状況を広く都民の皆さまに知ってもらいたい」と話している。

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。サステナビリティを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。