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都市鉱山や再生可能エネルギーを活用し「プラチナ社会」実現へ

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第5回未来まちづくりフォーラム

特別講演

小宮山宏・三菱総合研究所 理事長 / 一般社団法人プラチナ構想ネットワーク 会長

まちづくりに取り組む企業、団体、研究者らが登壇し、複数のテーマについて議論する第5回未来まちづくりフォーラムが、サステナブル・ブランド国際会議2023東京・丸の内のイベントとして同時開催された。同フォーラムの特別講演に登壇した三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏は冒頭、「我々は今、人類史の分岐点に生きている」と文明の転換期にあることに言及し、「地球が持続し、豊かで、すべての人の自己実現を可能にする社会」=「プラチナ社会」の実現に向けて、資源・エネルギー問題から具体的な筋道を示した。(横田伸治)

「文明は転換する。常識は変わる」――。力強く訴えかけた小宮山氏は、一般社団法人プラチナ構想ネットワークを2010年に設立。国内200以上の自治体が会員となり地方創生の取り組み事例を共有し、連携を促進している。

小宮山氏は、かねてから推進している「プラチナシティ構想」について説明し、まず鉄やアルミニウムなどの金属資源の供給を都市鉱山が担うことを「持続社会の極めて重要な考え」とした。つまり、日本など「鉄が飽和」している先進国では、解体されるビルや自動車から金属資源を取り出すべきであり、東京製鉄やハリタ金属の取り組みを紹介して「都市鉱山資源の品質問題は技術が解決できる」と述べた。

一方、エネルギー問題については、田畑を覆うように太陽光パネルを一定数設置しても収穫量に影響がないとする事例を紹介し、普及すれば「国内で必要なエネルギーの5倍を『再エネ』でまかなうことができる」ほか、土地活用による収益も、稲作であれば従来の2~4倍と飛躍的に向上すると説明する。

バイオマス生産の拡大についても、国土の約70%を占める山林を開発すべきだと提言。年1億トン以上のバイオマスを供給できるだけでなく、地方にも計10兆円規模の産業と雇用を創出できるという。実際に住友林業やJR東日本などと提携し、林業からバイオマス化学・都市設計までを包括する「プラチナ森林産業イニシアティブ」を設立したことも紹介した。

日本は資源国になり、文明は転換する

これらを踏まえて小宮山氏は、「日本は資源国になり、文明は転換する」と断言する。都市鉱山、再生可能エネルギーのいずれも国内に潤沢にあるというのがその根拠だ。さらに「いつまで資源を買おうとするのか。常識は変わる」と語気を強め、その実現に必要だと唱えたのが人材育成だ。プラチナ構想ネットワークで実施している小学生向けのプログラミング教育に大学生が参画する事業や、高等専門学校でAIを教えるプログラムなどを紹介。アクティブラーニングを通じて、学生世代を社会課題解決の即戦力として育成するビジョンだ。

小宮山氏は最後に、「(循環社会の実現は)今の技術でもできる。今なすべきことは『先頭に立つ勇気』を持って壁を突破することであり、政府は規制緩和を進めないといけない。個人は自ら行動に移し、政府や企業を叱咤するべきだ」と訴え、講演を締めくくった。

横田伸治(よこた・しんじ)

東京都練馬区出身。東京大学文学部卒業後、毎日新聞記者として愛知県・岐阜県の警察・行政・教育・スポーツなどを担当、執筆。退職後はフリーライターとして活動する一方、NPO法人カタリバで勤務中。