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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

オープンセミナーやBoFなど「特別企画」も SBならではのネットワーキング 広がる

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SB国際会議2023東京・丸の内

2月14日、15日に開催されたサステナブル・ブランド国際会議 2023 東京・丸の内(以下、SB国際会議)では、初のエリア型カンファレンスとして、サステナビリティに関する学びと発見を促すオープンセミナーやサーキュラーエコノミーを具現化する製品の展示会など、さまざまな特別企画が同時に開催された。SB国際会議のセッションを終えた2日目夜にはエリア内のレストランなどを会場に、BoF(Birds Of A Featherの略、ボフ)と呼ばれる登壇者らとの懇親会もテーマごとに開かれ、参加者がネットワーキングを繰り広げた。ここでは「共創」と「地方創生」をテーマにしたオープンセミナーと、BoFの場面を紹介する。(いからしひろき、横田伸治、サステナブル・ブランド ジャパン=松島香織)

オープンセミナー

【共創×イノベーション】「point 0」が取り組む本気の企業間共創を目指すコンソーシアム

「共創で生まれるサステナビリティ」をテーマにしたオープンセミナーは、丸の内2丁目ビルにある「point 0 marunouchi」で開かれた。この場所は、2018年2月にダイキン工業の呼びかけで設立されたpoint 0が運営する、共創のためのコワーキングスペースだ。

point 0 marunouchiでは現在、業種もさまざまな18の企業が集まり、健康で快適に働けるオフィス空間づくりに向けた実証実験を累計82件行っている。セミナーの講師を務めたpoint 0取締役副社長の豊澄幸太郎氏はパナソニック社員、取締役の長谷川修氏はオカムラ社員だ。

セミナーではpoint 0が共創により生み出したソロワークサテライトオフィス「point 0 satellite」が紹介された。コンセプトは「自分に無理しすぎない働き方ができる場所」で、長時間利用を想定し、より快適に過ごせるよう、さまざまなソリューションを参画企業が持ち寄っているという。

例えば、空気清浄はダイキン、顔認証装置はパナソニック、エルゴノミクス(人間工学)なオフィス家具はオカムラといった具合だ。また、向き合った個室の間に生木を置くバイオフィリックデザインは、サテライトオフィスとして初の内装意匠登録を取得している。

豊澄氏は、「本気の企業間共創を目指す」ために、コミッティー制度を導入したり、年に1回の発表の場を設けたりしていると発言。長谷川氏は、「“働く”を再定義し続けることが一番のサステナビリティだ」と、同社における共創の意義を語った。

※ 自然に接したいという人間の本能的な欲求を満たす空間デザイン

point 0 https://www.point0.co.jp/

【パーパス×共創アクション】「競争から共創へ」パーパスが生み出す共創

「パーパスが生み出す共創」をテーマに対談を繰り広げたのは、NPO法人UMINARIの伊達敬信氏とAllbirdsの森 松永氏だ。2人はパーパスにより組織内外に理念を共有することと、「競争から共創へ」と転換する重要性を強調。会場となった三菱商事ビルのMC FORESTには約40人が集い、耳を傾けた。

伊達氏は海洋プラスチックごみ問題の解決を目指すUMINARIの活動と、パーパスである「日本の未来に、豊かな海を残す」を紹介。全国にボランティアスタッフを抱える同法人だからこそ、「オープンディスカッションを通じてパーパスをしっかり固めてきた」と振り返った。また、パーパスを指針として、組織図を事業部ごとの縦割りではなくプロジェクトベース型に切り替えたことで、組織内の自由な共創が生まれやすくなったことも説明した。

一方の森氏は環境負荷の低い素材を使ったサステナブル・シューズの製造販売を手掛けてきたAllbirdsの歩みを紹介。「ビジネスの力で、気候変動を逆転させる」というパーパスによって、なぜこれを行うのかが明確になっていたことが工場との共創の推進力となり、すべての商品にカーボンフットプリントの数値を明記するに至ったと語った。

NPO法人UMINARI  https://uminari.org
Allbirds https://www.allbirds.jp/pages/our-story

【自然資本×地方創生】キャリアデザインでなく「ライフデザイン」を考えて

自然資本×地方創生の切り口で登壇したのは、NPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟している長野県原村村長の五味武雄氏と、福島県北塩原村村長の遠藤和夫氏だ。「日本で最も美しい村のRECENTER & ACCELERATE」をテーマに、原村は「星降る里」と呼ばれる絶好の星空スポットであったり、北塩原村には3000本の桜が一斉に咲き乱れる桜峠があるなど、村の見どころを紹介。また補助金を提供して積極的にワーケーションやIターンを誘致していることなどを説明した。会場のHave a Nice TOKYO!(三菱ビル1F)には同NPOに関わっているボランティアや移住に興味がある人が集まり、「どのような制度を利用できるのか」など、両村長に熱心に質問をしていた。

同NPOは、素朴で美しい村を厳選し紹介する「フランスの最も美しい村」運動を模範とし、農山漁村の文化や景観を守りつつ、地域の活性化と国の助成金に頼らない運営を目指している自治体を、プロモーション活動などの面で支援している。

「日本で最も美しい村」の資格審査委員を務める明治大学の藤本穣彦准教授は、「キャリアデザインではなく、自分の人生を豊かに生きるためのライフデザインを考えて、原村や北塩原村など日本の美しい村を居場所として選んでほしい」と力を込めた。

NPO法人「日本で最も美しい村」連合 https://utsukushii-mura.jp/

その他開催されたオープンセミナーは以下の通り。

【エネルギー×サステナビリティ】
資源循環型社会を本当に実現する為に必要なこと(国産SAF供給への取り組みを通じて)
会場:Deloitte Tohmatsu Innovation Park(新東京ビル8F)

【アート×ビジネス】
アートとサステナビリティ 多様性を受容し、想像する感性を育む
会場:MYギャラリー (明治安田生命ビル1階)

【メタバース×地方創生】
日本最古の旅行会社のメタバースで作る“誰も取り残さない世界”
会場:MYギャラリー (明治安田生命ビル1階)

【フード×サステナビリティ】
飲食店レストランのSDGs/サステナビリティとは?
会場:MC FOREST(三菱商事ビル1F)

【ウェルビーイング×サステナビリティ】
~幸せに「働き」、幸せに「よく生きる」~前野隆司先生と考える、働く人のウェルビーイングのヒント
会場:Deloitte Tohmatsu Innovation Park(新東京ビル8F)

サステナビリティを語り合う交流の場――BoF

BoFは、SB国際会議の参加者が登壇者などと交流を図る場として、今回初めて開催された。「脱炭素&ESG」「DE&I」などテーマ別に会場となった丸の内エリア内のレストランには多くの人が集まり、会が終了してもSB国際会議の感想や、サステナビリティに関する自分の考えなど、熱心に語り合っていた。

三菱ビル内の交流スペース「Have a Nice TOKYO!」は、「地方創生」をテーマとし、SB国際会議や未来まちづくりフォーラムの登壇者を中心に、自治体や企業の関係者ら約50人が集まった。未来まちづくりフォーラム実行委員長の笹谷秀光氏は、自身が産官学を横断してきた経歴を踏まえ「交流の人生であり人との出会いの連続だった。未来志向で多くの人と交流して盛り上がってほしい」と挨拶した。

「環境&生物多様性」をテーマにしたレストランには約60人が集まり熱気に包まれた。参加した外資系企業に所属する女性は、「日本のパネルディスカッションは予定調和なことが多いが、SBは真剣勝負なセッションが多く、今までのイベントで一番面白かった」とSB国際会議の感想を話した。

Gen-Zネットワーキングの会場には、SAプログラムでSB国際会議に招待された高校生や大学生などZ世代約50人が集まり、明るい声が響いた。参加した高校生は「学校ではサステナビリティについて話す友人がいないので、こういう場所は本当に楽しい」と笑顔で話す。また北海道から参加した高校生は、「自分は宇宙に興味があるが、人工衛星などは宇宙にそのまま『ごみ』として捨てられていて本当にひどい状態。大学で開発技術を学び、少しでも良くしたい」と夢を語った。

大学3年生でnest(SB Japan Youth Community)プロデューサーの入江遥斗氏は、「こういう場所はユースにとっても必要。自分たちを信じてこういう場所を提供してくれた大人とユースをつないでいくのは自分の役目」だと話す。さらに「nestの活動を活発にして大きくしていきたいし、プロデューサーとして成長したい」と目を輝かせた。