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  • 公開日:2023.02.14
  • 最終更新日: 2025.04.04
サステナブル・ブランド イメージ調査でSDGs認知は約9割、一方で内容の理解が課題
  • 松島 香織

サステナブル・ブランド ジャパンは14日、生活者から見たSDGs(持続可能な開発目標)に対する企業の取り組みとブランドイメージを調査した「ジャパン・サステナブルブランド・インデックス2022(Japan Sustainable Brands Index:JSBI2022)」のランキング結果を発表した。第3回目となる今回は19業種 306社を対象に調査を実施。持続可能な取り組みを行っているブランドとして認知されている企業の1位には良品計画、2位にトヨタ、3位に住友林業が入った。SDGsの認知度は昨年の84.2%から89%へと上昇したが、一方で「内容を知っている」割合が昨年と同じく約2割となっており、言葉の認知は進んだものの内容の理解が十分進んでいないこともわかった。(松島香織)

JSBIは、企業のSDGsやサステナビリティ活動に対して生活者の視点から調査したインデックスで、生活者が抱く企業イメージやブランドに対して持つ認識が、その時々の消費行動や商品の推奨行動などにどのような影響を及ぼすのかを分析している。調査は2022年11月16日~12月21日の期間、全国の18歳から79歳の男女1万5300人を対象にインターネットで行った。

調査は「SDGs認知度」「SDGs貢献度(100点満点)」「サステナブル・アクション重要度(30項目)」「サステナブル・アクション評価(30項目)」の4項目から行った後、さらにSDGs貢献度を基準化した「SDGs貢献イメージ得点」とSDGsの重要度・企業評価を基準化した「SDGs評価得点」を算出し、これらの2項目を合計した数値を総合得点とした。上位30社は以下の通り。

SDGs貢献イメージ得点:SDGsに貢献しているイメージがあるかを100点満点で評価。調査対象が「SDGsに貢献していそうだ」というイメージを持たれている企業が高い得点を得る傾向にある。

SDGs評価得点:SDGsの17目標と企業が実際に行っているサステナビリティ活動とを照らし合わせた評価。サステナビリティに対する具体的な活動内容が認識されている企業が高い得点を得る傾向にある。

前回から引き続きSDGsと商品・サービスとの関連性が強い業種が高い評価を得ているが、業種別では「化粧品・トイレタリー」の評価がもっとも高く、17社中12社のJSBI得点が100点を超え、業種の平均値は102.13点になった。またSDGs評価得点50.84に対しSDGs貢献イメージ得点は51.29で、企業の取り組みと生活者視点のギャップが小さい結果となっている。次に「薬品・医療用品」「食品」業界が2、3位と続くが、これはコロナ禍からある程度日常生活が戻ってきたいわゆるポストコロナのなかで、生活者が日常に使用するものを通して、生活接点に近い業種が高く評価されたものと考えられる。

生活者が考えるSDGsの重要度を目標別にみると、前回から引き続き「8.経済成長と雇用」や「9.インフラとイノベーション」といった経済指標に関する目標が高く、次に「16.平和」「7.エネルギー」が重視されており、ロシアによるウクライナ侵攻でもたらされた世界情勢不安の影響がうかがえる。また男女別でみると、女性では経済指標に関するSDGs目標の重要度は下がり、「2.飢餓」「4.教育」「5.ジェンダー」「10.不平等是正など」などの社会指標が重視される結果が出た。

企業は社会に向けて理解・行動変容を促す取り組みを

SDGsの認知度の経年変化

SDGs認知度は、昨年の84.2%から89%へと上昇したが、一方で理解度の内訳をみると「内容を知っている」割合は昨年と同様の24.5%であり、SDGsという言葉の認知は進んだものの内容の理解が十分進んでいないこともわかった。

今回の調査結果について、監修した駒澤大学教授/サステナブル・ブランド国際会議 アカデミックプロデューサーの青木茂樹氏は「企業評価のスコアは全体的に前年より低い結果になっているが、これは生活者のサステナビリティへの意識が高まったからではないか」と分析している。一方SDGsの認知度の高さに内容の理解が伴っていないことについて、「企業がSDGsに配慮した製品やサービスを生み出し、社会に向けて理解・行動変容を促す必要がある」と述べた。

JSBI 2022
■調査方法:インターネット調査
※回答者は、グループ分けされた6つの企業(対象企業社数計306社)について、それぞれ30問の設問に回答。
■調査対象者:18歳~79歳の男女
※スクリーニング調査で「対象企業を知らない」と回答した人を除外して本調査を実施。
■調査地域:全国47都道府県
■使用パネル:あらかじめ登録されたクローズドモニターによって構成されたパネル
■調査期間:2022年11月16日~2022年12月21日
■回 収 数:15,300サンプル (1社あたりの回答者数は300サンプル)
■調査実施者:サステナブル・ブランド ジャパン(株式会社 博展)

written by

松島 香織(まつしま・かおり)

サステナブルブランド・ジャパン ニュースサイトの立ち上げメンバーとして参画。その後2022年12月から2025年3月まで、デスク(記者、編集)を務める。

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