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「FOOD MADE GOOD」アワード 兵庫のイタリアン店がサーキュラーエコノミーと大賞のW受賞

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「FOOD MADE GOOD Japan Awards2022」の大賞とサーキュラーエコノミー賞に選ばれたBOTTEGA BLU.のオーナーシェフ、大島隆司さん(右から2人目)

日本サステイナブル・レストラン協会(SRA-J)は14日、食にかかわる社会課題の解決に向けた飲食店の取り組みを評価する「FOOD MADE GOOD Japan Awards2022」の受賞者を発表した。2回目の今年は容器包装リサイクルの観点から、「サーキュラーエコノミー賞」を新設。独自の食品ロス削減の取り組みに加え、シェフの受け入れや他店舗のメニュー監修も手掛ける、兵庫県芦屋市のイタリアンレストラン「BOTTEGA BLU.」(ボッテガブルー)が同賞と大賞の両方でトップに選ばれた。(廣末智子)

レストラン経営におけるサステナビリティを網羅する国際指標に基づいて評価

FOOD MADE GOODは、英国サステイナブル・レストラン協会が定める国際指標。調達、社会、環境の3つを柱にレストラン経営におけるサステナビリティを網羅的にチェックする250の質問項目に対して、レストラン自身がセルフレーティングを行う仕組みになっている。

アワードはこの評価指数に基づき、レーティングを行った国内飲食店の中から、毎年、大賞と部門賞(調達・社会・環境)を表彰しており、今年はこれにサーキュラーエコノミー賞が加わった。ノミネートされたのは国内17の飲食店で、審査員は昨年同様、WWFジャパンの三沢行弘氏と日本サステナブル・ラベル協会代表理事の山口真奈美氏、食品ロス問題ジャーナリストの井出留美氏、フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長の潮崎真惟子氏、東京レフェルヴェソンス(L'Effervescence)のエグゼクティブシェフの生江史伸氏の5氏。

W受賞のBOTTEGA BLU. 業界におけるリーダーシップ発揮

大賞とサーキュラーエコノミー賞に選ばれたBOTTEGA BLU.は、オーナーシェフの大島隆司氏が、イタリア修行時代に培った「もったいない精神」から、端材は出し汁に、失敗したお菓子の生地はオーブンシートの代わりにするなど、店内での食品ロスをゼロにする取り組みを実施。さらにシェフの受け入れや他店舗のメニュー監修も手掛けるなどレストラン業界におけるリーダーシップを発揮している。

14日行われたアワードの表彰式では新設のサーキュラーエコノミー賞から発表され、同賞の意義について、今年、SRA-Jと協働で店頭での紙パックリサイクルの実証実験を行った全国牛乳容器環境協議会常務理事の伊藤忍氏が、「レストランの原料などを店舗に届けるための容器包装は、食品を包む容器であることから、高品質で衛生的な容器が使われているが、これを一度で廃棄してしまうとサステナブルな世の中は実現できない」と強調。実験における紙パックの回収率の高さに加え、芦屋市や商工会を巻き込んで活動するなど、実行力と情報発信力が抜きん出ていたことが決め手となり、BOTTEGA BLU.を同賞に選んだことが明かされた。

また同店の大賞受賞理由についてSRA-Jは、「有機野菜やフェアトレード原料を使用し、魚も魚種や漁法を確認しながら調達するなど、全ての項目において高いレーティングを獲得。社会面では他のレストランや提携農家に食品ロス削減のノウハウを積極的に伝えるなど、農業・レストラン業界の発展に貢献する姿勢にある」としている。

大賞とサーキュラーエコノミ賞のダブル受賞について、BOTTEGA BLU.の大島氏は、「店は13年目になるが、夫婦2人で始めてシンプルなことをコツコツやってきたのが認められ、自分たちがやっていることに自信が持てた。この1年は特に岡山のお店と料理監修を通じてコラボできたことが自分の成長につながっている。スタッフも増え、働きやすい環境づくりもテーマに取り組んでいるので、来年も皆さんの前で報告できるようさらに頑張りたい」と語り、喜びを表した。

なお「調達」の部門賞には東京都練馬区の石神井公園にあるPIZZERIA GTALIA DA FILIPPOが、「社会」の部門賞には神奈川県横浜市のhaishop cafeが、「環境」の部門賞にはBOTTEGA BLU.が料理の監修を手掛けた岡山県真庭市のトラットリアケナルが選ばれた。





今年のノミネートレストランは次の通り。
・BOTTEGA BLU.(兵庫・芦屋) 大賞、サーキュラーエコノミー賞
・PIZZERIA GTALIA DA FILIPPO(東京・練馬) 部門賞「調達」
・トラットリアケナル(岡山・真庭) 部門賞「環境」
・haishop cafe (神奈川・横浜)  部門賞「社会」
御料理 茅乃舎 (福岡・久山町)  
SELVAGGIO(愛媛・松野町)
L’OSIER(東京・中央)
日本料理 富成(石川・輪島)
Graal(宮城・仙台)
Oppla da Gtalia(東京・練馬)
BAR芦屋日記(兵庫・芦屋)
伊たこ焼(大阪・大阪)
お野菜料理ふれんちん(大阪・東大阪)
能勢 日本料理 新(大阪・能勢町)
ザ・キャピトルホテル東急内オールデイダイニング「ORIGAMI」(東京・千代田)
TRONCONE(埼玉・所沢)
naturam(東京・二子玉川)

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーを経て、2022年10月からSustainable Brands Japan 編集局デスク 兼 記者に。サステナビリティを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。