サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

脱炭素、ウェルビーイング…木を活用して社会課題解決へ 新「ウッドデザイン賞」最優秀4作品が決定

  • Twitter
  • Facebook
「ウッドデザイン賞2022」で最優秀賞(環境大臣賞)に輝いた「SANU 2nd Home」

木で暮らしと社会を豊かにするものを表彰し、国内外に発信するための顕彰制度である「ウッドデザイン賞」の今年の上位賞が9日、決定した。8回目の今年は、木を活用して都市と地域に新たな価値をもたらす、業種横断型のプラットフォームとして昨年12月に設立された一般社団法人「日本ウッドデザイン協会」(隈研吾会長)が主催。これまで以上に脱炭素化や環境配慮、ウェルビーイングなど、時代の求める重要なテーマにいかに貢献しているかという視点に重きを置いて審査がなされたという。最優秀賞4点を紹介する。(廣末智子)

地域密着型サプライチェーン、 サーキュラー型建築などに高評価

最優秀賞4点と審査評は次の通り。

最優秀賞 ( 農林水産大臣賞 )
MOKUWELL HOUSE
MEC Industry株式会社(鹿児島県)
建築・空間分野 ライフスタイルデザイン部門

最優秀賞(農林水産大臣賞)の「MOKUWELL HOUSE」

原木調達を地域の森林から自社の素材センターへ送り、原木加工でも高い歩留まりを実現する、地域密着型のサプライチェーン構築のビジネスモデルから生まれた木造のプレファブリック住宅。工場生産による部材を現場で組み立て、高品質と低価格を両立させながら、地域材の高付加価値化、木の魅力を存分に味わえる空間の提供といった複合的な課題解決の取り組みとして高く評価した。

最優秀賞 ( 経済産業大臣賞 )
ワーカーのウェルビーイングな働き方をサポートするビッグテーブル「シルタ」
株式会社イトーキ(東京都)
木製品分野 ライフスタイルデザイン部門

最優秀賞(経済産業大臣賞)の「シルタ」

大型のオフィス空間向けのテーブルで、ペーパーハニカムパネルとアルミ押出材を天板内に収納して軽量化と強度を確保し、デザインクオリティの高い作品。木の温もりがワーカーのストレスを軽減したり、集中力を上げる効果は実証実験で裏付けられており、それらへの気配りがある。木製家具のオフィス導入が健康経営推進にもつながることを示し、オフィスの木質化促進への貢献が期待される。

最優秀賞 ( 国土交通大臣賞 )
HULIC&New GINZA 8
株式会社竹中工務店(東京都)、ヒューリック株式会社(東京都)、隈研吾建築都市設計事務所(東京都)、西白河地方森林組合(福島県)、協和木材株式会社(東京都)
建築・空間分野 ソーシャルデザイン部門

最優秀賞(国土交通大臣賞)の「HULIC&New GINZA 8」

シンボル的な木造建築が多くの人の目に触れる都市部に建ち、その価値や魅力を発信するにふさわしい。都市における木材利用による炭素固定を促すモデルの先進例として高く評価した。この地域ならではの社会性や環境志向のある感度の高い客層をターゲットに、木の持つ優しさを生かした快適で心地よい空間を提供しており、断熱性や吸湿性といった性能、温もりや柔らかさなど五感に訴える木の魅力を十分に伝え、木を使うメリットを最大限に引き出した。

最優秀賞 ( 環境大臣賞 )
SANU 2nd Home
株式会社Sanu(東京都)、株式会社ADX(福島県)、有限会社二葉測量設計事務所(静岡県)、釜石地方森林組合(岩手県)
建築・空間分野 ライフスタイルデザイン部門

最優秀賞(環境大臣賞)の「SANU 2nd Home」

木と調和した保養滞在の魅力を訴求し、国産材に加えペレットストーブ等の自然エネルギーの使用、極力、釘やビスを使わない解体しやすい建築面の工夫もある。収益の一部で植林を行うなど自然への負荷を最小化したサーキュラー型建築を実現。本建築物が増えるほど森が豊かになる環境再生型事業の良質なモデルだ。サブスク型で多様な農山村地域や自然公園等への訪問を促進する点も高く評価した。

隈会長「ウッドデザインは木材を使って社会と暮らし、都市と地域に新たな価値をもたらす多様な連携による活動の総称」

ウッドデザイン賞は2015年に創設され、林野庁補助事業として、木のある豊かな暮らしを目的に、建築士や設計士、デザイナーや施主などの協働を推進。今年は新たに「日本ウッドデザイン協会」が運営を担い、330点の応募の中から10月に188点の「ウッドデザイン賞2022」を決定。今回の上位入賞者はその中から「木の活用による社会課題の複合的な解決をもたらし、イノベーション・新産業創出に寄与する」観点から選ばれた。

なおウッドデザイン協会の設立に際して、隈研吾会長は、「ウッドデザインは木材を使って社会と暮らし、都市と地域に新たな価値をもたらす、多様な連携による活動の総称です。そして、日本ウッドデザイン協会は、木材を使って持続可能な社会、個性ある地域、豊かで安全な暮らしをデザインするための、新たなプラットフォームです」とするメッセージを発信している。

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーを経て、2022年10月からSustainable Brands Japan 編集局デスク 兼 記者に。サステナビリティを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。