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京都信用金庫、使用済み衣服の回収・循環の旗振り役に 地域内プラットフォーム構築へ

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榊田隆之・京都信用金庫理事長(後列左から4番目)、門川大作・京都市長(同2人目)と学生プロジェクトのメンバー(前列)らが顔をそろえた記者会見

金融機関の店頭に置かれた回収ボックスに入れるものは何!?そんなクイズにもなりそうな異業種による連携・共創の取り組みが今月、京都市で始動する。京都信用金庫が13日から10月上旬にかけて本・支店など92カ所に設置するボックスで回収するのは、家庭で不要になった衣服だ。回収した衣服は卸やECでの再販売、素材としての製品化などを通じて可能な限り地域内でリユースするプラットフォームの構築を目指す。(廣末智子)

学生の街、京都からファッション・ロス問題の課題解決を

回収BOX

京都を地盤とする企業と行政、住民らによる「使用済衣服の回収&循環プロジェクト『RELEASE↔︎CATCH』」。同金庫と、アパレル販売などを手掛けるヒューマンフォーラムの企画・主催で行い、リサイクル業の安田産業と、学生向けマンション運営などのジェイ・エス・ビーが衣服の運搬や回収ボックスの設置を、また京都や大阪で作業着店を展開する、たまゆらがリサイクル衣服を100%使用したパネルの製造と活用を手掛ける。さらに全体のプロジェクトを創出し、実証を支援する立場で京都市が参画する。

同金庫によると、CO2排出量や水の使用量の多さから世界的にアパレル産業の環境への負荷の大きさが問題となる中、日本では環境省の調査で、着なくなった衣服の68%が「可燃・不燃ごみとして廃棄されている」という“ファッション・ロス”問題に着目。「人口のおよそ1割は学生とされ、学生の街といわれる京都においてファッションを切り口とした地域課題解決の取り組みを行うことは、未来をつくる若者世代が環境問題や3R(リデュース・リユース・リサイクル)に目を向けるきっかけとなる」とする考えからも企画が生まれた。

また同金庫では2018年に大手のGUとの協働で古着回収プロジェクトを実施した経験があり、今回、より地域に密着した形で衣服の循環を実現させたいという思いのもとに地域企業との連携を模索。プロジェクトを通じて住民にファッション・ロス問題の深刻さや衣服を循環させることの意義を訴え、共感と参画を広げることで、地域のソーシャルマインド(社会的な意識)を醸成していくことが大きな目的だ。

地域の“おせっかいバンカー”を標榜

SDGsの達成や社会課題の解決に向け、各地で業種や業界を超えたステークホルダーの連携や共創が広がる中、金融機関が旗振り役となってさまざまな取り組みを進める例も珍しくはない。とはいえ、同金庫の場合、“おせっかいバンカー”を標榜して、さまざまな企業と企業、人と人の橋渡しに力を入れるなど、今回のプロジェクトに限らず、そうした姿勢が際立つ。

“おせっかいバンカー”という言葉の意味を、同金庫の「ゆたかなコミュニケーション室」(2018年に旧広報部の流れを受けて設立)の担当者は、「当金庫の職員は、お客さまが『金融機関に対して求めること』以上におせっかいを焼き、日常の困りごとやビジネスの課題、さらには地域社会の課題などをお聞きして解決する存在、バンカーでありたい」という思いを込めている」と説明。

そして、地域のソーシャルマインドを醸成していくための取り組みの基盤には、「Community Building(コミュニティ・ビルディング)の仕組みづくりの実現」を掲げる同金庫のミッションがあると強調する。

そのコミュニティ・ビルディングの仕組みづくりを行う上では、

・多様なバックグラウンドを持つ人々が集う交流の場づくり
・オープンな環境のもと、皆が「寄ってたかって」課題解決に取り組む精神
・お節介を焼く人(Community Manager、コミュニティ・マネージャー)がいて初めて人と人がつながる
・自分とは異なるフィールドに飛び込み、価値観の異なる人と出会うことで、「新たな気づきや学び」が生まれる

といった点を重要視しているという。

年間360トン回収、324トンごみを削減し、CO2排出量も1万5160トン削減へ

衣服循環プロジェクトは、さらなる“共感協働者”を募集中で、目標とする衣服の回収量は、年間360トン(初年度は、約半年で45トン)と設定。これにより、年間324トンのごみの削減(初年度は40.5トン)と、年間1万5160トンのCO2排出量の削減(初年度は1895トン)を見込んでいる。

京都市は食品ロス削減の目標数値を全国の自治体で初めて示した「新・京都市ごみ半減プラン」で、ピーク時の2000年度には82万トンあったごみの量を、2016年度には半減させることに成功し、最新値である2021年度には38.1万トンにまで減少。また2020年度には一人が1日に出すごみの量が、全国の政令市及び人口50万人以上の都市で最小となるなど、ごみ削減の先進地だ。

同市の環境政策局循環型社会推進部資源循環推進課によると、衣服に絞った可燃・不燃を含めたごみの量や割合は「年度によってばらつきもあり、数字自体をもっていない」としているが、金融機関の旗振りによる資源循環プロジェクトへの協力が進み、目標値以上の成果を上げることが期待される。

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。サステナビリティを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。