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人的資本を中長期的な企業価値につなげるために必要な視座とは 高校生とZ世代活動家らが議論

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(上段) 髙麗氏、江成氏、岡本氏 (下段) 小野塚氏、伊達氏、田中氏

世界的なESG投融資の拡大を背景に、企業は非財務資本をどう測り、情報開示していくのかが問われている。なかでも人的資本の見える化は喫緊の課題だ。サステナブル・ブランド国際会議2022横浜では田中信康・ESGプロデューサーが、マネックスグループ カタリスト投資顧問の小野塚惠美氏とZ世代の起業家でNPO法人UMINARIの伊達敬信氏、そしてESGについて学ぶ現役高校生3人をパネリストに迎え、多様な人材育成など人的資本をめぐる取り組みを中長期的な企業価値につなげるために、いま企業はどのような視座に立つべきなのかを話し合った。(横田伸治)

ファシリテーター:
田中信康・サステナブル・ブランド国際会議 ESGプロデューサー
パネリスト:
小野塚惠美・マネックスグループ カタリスト投資顧問 取締役副社長COO
伊達敬信・UMINARI 代表理事兼CEO
髙麗祥太・文化学園大学杉並高等学校2年 STEAMプロジェクト 社会課題探究部門
岡本永真・文化学園大学杉並高等学校2年 STEAMプロジェクト 社会課題探究部門
江成 オチェロ カレン・文化学園大学杉並高等学校1年 STEAMプロジェクト 社会課題探究部門
※学年は2022年2月時点

セッションではまず、田中氏が人的資本の開示をめぐる国内外の動きを概説。日本では2021年6月に「人的資本情報の『見える化』の推進」が明記された「成長戦略フォローアップ」が閣議決定されて以降、議論が加速、世界初の人的資本の開示ルールである「ISO30414」も注目されている。今後はより企業独自の指標の測定や開示が求められ、情報感度が高く、2050年の社会を担うZ世代との共創を未来への視座としてもつことの重要性を訴えた。

Z世代を代表する現役高校生として登壇したのは、文化学園大学杉並高校でESG投資について学びながら探究活動を行う髙麗祥太氏、岡本永真氏、江成 オチェロ カレン氏の3人。それぞれに学内外での活動経験を通して感じた課題や考えを披露した。

江成氏は「会社は上下関係の厳しい部活と同じで、オープンな雰囲気と環境を整備し、ウェルビーイングを向上させて一人ひとりの能力を発揮させることが重要なんじゃないか」、岡本氏は「学生だけでは資本、技術、知識が不足し、アイデアベースで終わってしまう。大人や会社と連携することが大切」、髙麗氏は「こうした僕たちの声が(社会に)反映されれば、いろんな考えの人がどんどん意見を言える、真の持続可能な社会になる」と訴えた。

これを受け、小野塚氏は「今の話にも出たが、組織が力を発揮するためには、心身ともに安定し、ありのままでいいんだと思える個人的ウェルビーイングと、会社として一緒にやって良かったねと認め合う集団的ウェルビーイングの両方が必要だ」と高校生の視点を評価。「人生設計が多様化し、知識やスキル、家族や友人から得られる元気や、学び続けるための力など、人生においても目に見えない資産の価値が高まっている」と指摘した。

Z世代の活動家、伊達氏は不動産開発企業などと共創し、Z世代が起点となって次世代の街づくりを検証する新プロジェクトに取り組んでいることを紹介。この話に高校生たちは刺激を受けたようで、髙麗氏は「僕がESGを学ぼうと思ったのは課題解決に向けて、資金をどうすればいいかということだった。そこに伊達さんは、Z世代と企業が新たな価値を提供し合うという一つの方法を見つけ出してくれたと感じた」と話した。

「世代を超え、互いにリスペクトを」

セッションは最終的に、「リスペクト」をめぐる議論へ向かった。伊達氏が「思いは曲げずに、視点は柔軟にいたい。二項対立ではなく、いろんな世代が互いにリスペクトするべき」と投げかけると、小野塚氏が「外資では役職名で呼ぶのではなく『個人へのリスペクトを持ちましょう』と教育を受ける。ダイバーシティも同じで、システムとして取り入れることで組織が変わる」と補足。

岡本氏は「私は『自分は社会経験が無いから』と自信をなくすのでなく、学生も大人もお互いに軸を曲げずにディスカッションを生むことが大事と思った」と感想を述べ、江成氏は「デスクが大きいとか威圧感があるとか、形式的な尊敬ではなく、経験やスキルで本当に尊敬しあえる環境が企業にあってほしい」と要望した。

最後に小野塚氏は「今日の議論を通じて、人と人が意見をぶつけ合って建設的に何かをつくり出していくことが重要ということを改めて感じた。人とのつながりや自己肯定感を高め、個人や社会、国として、そして地球としてもサステナビリティを高めていければ」と期待を述べ、Z世代とのセッションを締めくくった。

横田伸治(よこた・しんじ)

東京都練馬区出身。東京大学文学部卒業後、毎日新聞記者として愛知県・岐阜県の警察・行政・教育・スポーツなどを担当、執筆。退職後はフリーライターとして活動する一方、NPO法人カタリバで勤務中。