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LIXIL、ユニセフとの協働でアフリカでのトイレ普及に成果――インド、インドネシアへも活動拡大

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ケニアではスツール式「SATO」が障がいを持つ子どもたちのトイレ環境を改善

LIXILは、2018年から国際連合児童基金(ユニセフ)と連携し、ケニア、エチオピア、タンザニアで簡易式トイレシステム「SATO」や手洗い器「SATO Tap」を通じて、290万人の衛生環境の改善に貢献してきた。この実績やノウハウを生かし、2022年1月からインド、インドネシア、ナイジェリアでの活動を始める。ユニセフと連携することで、現地での製品のフィードバックや地域毎の課題が明確になり、よりマーケットニーズをとらえた展開や、学校への普及が加速した。同社は新型コロナウイルスの感染拡大防止策として開発した手洗い器「SATO Tap」の普及も合わせ、2025年までに1億人の衛生環境の改善を目指すことを目標としている。(環境ライター箕輪弥生)

ユニセフとのパートナーシップが、地域の衛生問題の解決を進める

インドではNGOや国際機関と協働し、女性たちにトイレ施工の技術に関する研修を行い、雇用や収入拡大につながっている

SDGsの目標6に「安全な水とトイレを世界中に」が掲げられているが、いまだ世界の約17億人が安全なトイレを利用できず、約23億人が家でしっかりとした手洗いを行えていない。なかでも子どもたちへの影響は大きく、毎年約30万人もの5歳未満の子どもたちが汚れた水と不衛生な環境により命を落としている。

この社会的課題について以前から取り組んでいるLIXILは、2013年にバングラデシュで最初の簡易式トイレシステム「SATO」の生産、販売を開始し、これまでに41カ国で約510万台を出荷している。

LIXILは同プログラムをさらに推進するために、2018年からユニセフとパートナーシップを結び、「SATO」の普及と共に、衛生環境の重要性を伝える教育プログラムなどをケニア、エチオピア、タンザニアで行い、約290万人の衛生環境の改善に寄与してきた。

同社はプログラムを実施する上で、ユニセフと連携して地域別の課題を細かくリサーチし、製品の感想やニーズもフィードバックするモニタリングを重視している。そしてその結果に基づいた実効性のある教育プログラムを考案、実施している。

地域別に衛生環境についての課題が異なることから、製品についてもモニタリングで見えてきた課題別のソリューションに基づき、現在SATOにも30〜40種のバリエーションが生まれている。

SATOの開発に携わった同社SATO事業部 石山大吾イノベーションリーダーはインドで便槽が2つあるトイレ「Vトラップ」を、アフリカではスツール式のトイレを開発した。

「SATO」や「SATO Tap」の開発を行った石山大吾イノベーションリーダー

「アフリカで誕生したスツール式のトイレは現地の人々の声をもとに開発しました。このタイプの製品はより少ない水で利用することができ、施工にセメントも必要ありません」(石山氏)

スツール式SATOは高齢者や障がいをもつ人にも使いやすく、ケニアなど現地でも人気があり、障がい者施設などでも喜ばれているという。

地域の学校とのネットワークが豊富なユニセフとの連携は、子どもたちの衛生環境の改善や行動変容も生む効果を表している。

例えば、タンザニアのある地域では小学校2000校を対象に、4万9000人の子どもたちの衛生環境を改善。これにより、出席率は以前より15~20%増え、現在では平均 95%の子どもたちが出席するようになるなど大きな成果をあげている。

さらに同プログラムは、SATOの設置やトイレ建屋の建設を担う職人の育成も行うことで現地での雇用も生み出し、衛生環境改善における政府への共同提言なども行っている。

手洗い器「SATO Tap」を加え、インド、インドネシア、ナイジェリアへ拡大

COVID-19が猛威を振るう中、手洗い設備が命を守ることにつながると「SATO Tap」を開発

LIXILとユニセフのパートナーシップ「MAKE A SPLASH!」はこれまでの実績を基に、来年1月から、インド、インドネシア、ナイジェリアへと活動範囲を広げる。これにより18億2000万人が住む地域が新たに対象となる。

これまでと同様、製品や教育などソリューションの提供を行うほか、マイクロファイナンスの活用にも新たに取り組む。トイレの設置には施工や小屋の設置などが必要になるため、金融機関との連携も重要なポイントだと考えているからだ。

また、導入する製品については、簡易式トイレ「SATO」に加え、コロナウイルス対策として開発された手洗い器「SATO Tap」の普及も加わる。

これは、ペットボトル内の水と重力を利用して無駄なく最小限の量で安定して水が出るように設計された簡易式手洗い器で、昨年、石山氏がわずか数週間で考案した。

というのも石山氏自身がコロナ感染を体験し、事業を展開している地域で手洗いができない数多くの人びとがいるという事実を知り、開発を急いだからだ。

石山氏は「通常の商品開発が適わない状況だったが、世界各地にいるSATOのメンバーやユニセフなどのパートナーと相談しながら、一刻も早く製品を必要とする人たちに届けたいという思いで開発を進めた」と振り返る。

開発にあたっては、比較的容易に手に入れやすいペットボトルを使い、手頃な価格で、製造や輸送が簡単にでき、子どもにも使いやすく、水を節約するという現地のニーズに応えた。製品テストやフィードバックにはユニセフの協力もあったという。

石山氏はユニセフと連携した活動範囲が広がることについて、「地域で何十年も活動してきたユニセフのように、問題を熟知している団体と連携してソリューションを提供できることはSDGsの前進のために意義がある」と話す。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。

http://gogreen.hippy.jp/