SUSTAINABLE BRANDS JAPAN のサイトです。ページの先頭です。

SUSTAINABLE BRANDS JAPAN のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

プラスチック新法成立にNGOらが共同声明——法的拘束力のある国際協定や基本法制定など求める

Lisovskaya

プラスチックごみの削減やリサイクル強化に向けた、いわゆる「プラスチック新法」(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)が4日の参院本会議で可決、成立した。同法はプラスチックを使用する製品の設計から廃棄物処理に至るまで、そのライフサイクル全般における「3R(リデュース・リユース・リサイクル)+Renewable(再生可能)」を促進するという内容。小泉進次郎環境相自ら「新法でプラスチックの出ない社会を目指す」と位置付ける政府肝いりの法律だ。これに対し、WWFジャパンら14団体でつくる「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」は同日、地球規模のプラスチック汚染問題を解決するための「法的拘束力のある国際協定」の早期発足に向けて日本が最大限の貢献を行うことを求めるとともに、新法の内容は不十分で、「国内のプラスチック汚染問題全体を包括する『基本法』の早急な制定がなおも必要」などとする共同声明を発表した。(廣末智子)

同法は、海洋プラスチックごみや気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化などへの対応を契機に、国内のプラスチック資源循環を一層促進する重要性が高まっていることから、プラスチックのライフサイクル全般における循環を促進しようと法制化された。具対的には、プラスチックを使用するメーカーなどに対し、リサイクルしやすい設計に関する指針を策定し、それに適合した製品であることを認定する仕組みを設けるほか、使い捨てのストローやスプーンなどのプラスチック製品を多く提供する飲食店などの事業者に対して、新たな判断基準に基づく削減を求めるもので、2022年度に施行される。

「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」オンライン会見で問題指摘

これに対し、「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」は同日、共同声明を発表すると同時に、WWF(世界自然保護基金)ジャパンの三沢行弘氏ら各団体のメンバーが登壇してオンライン会見を開いた。法律の対象が「プラスチック使用製品のライフサイクル全体にまで拡大した点は評価する」とした上で、同法がプラスチックのライフサイクルにおける「3R(リデュース・リユース・リサイクル)+Renewable(再生可能)」を掲げながらも、「その中での優先順位があいまいである」と指摘。「循環基本法(循環型社会形成推進基本法)でも規定されているリデュース>リユース>リサイクルの順番で優先度をつけて対応することが必要であり、まず大幅にリデュースを促進しなければ熱回収は続き、環境へのリスクも続くことになってしまう」などと危惧を示した。

また新法では、使い捨てのプラスチックやスプーンなどを無償で消費者に提供する飲食店などに対し、新たに設ける基準に「著しく逸脱する場合には改善を促す勧告や命令、50万円の罰金を科す場合もある」としていることを挙げ、「著しく逸脱する場合のみということであれば、大部分の業者は変わらないということだ」と憂慮。欧州では既に、使い捨てプラスチックの発生抑制対策として2019年のEU指令により、カトラリーやストロー、マドラーなど10品目の使い捨てプラスチック製品の流通が禁止されていることと比べても、「日本ではレジ袋有料化しか政省令に入っておらず、明らかに発生抑制のための施策が足りない」と問題提起した。

「環境への流出、2030年には根絶を」 9項目の要望示す

こうした問題から、同ネットワークが発表した9項目からなる共同声明は次の通り。

1. 循環型社会形成推進基本法に規定された優先順位に基づき、発生するプラスチックを最大限抑制することを最優先した上で、次に、代替品を含めた長期間利用やリユースなど、その次に使用済みプラスチックの水平リサイクルを推進することにより、「熱回収を最小化しつつ、環境への流出を2030年には根絶」できるよう、社会基盤の構築に必要な措置を講ずること

2. 使い捨てプラスチックについて、「2030年までに製造・利用などを原則禁止」とし、その実現に向け、「2025年までの削減率および分別回収率の目標を設定する」こと。その上で、リスクの大きい品目や必要性の低い品目を特定し、優先順位を付けて「製造・利用など禁止や有料化を段階的に導入するために、法改正を含め必要な措置を講ずる」こと。またデポジット制などによる確実な回収率達成を義務付けること

3. プラスチック使用製品につき、自然環境や社会へのリスクを十分防ぎつつ発生抑制と資源循環を促進できるように科学的見地から環境配慮設計の基準を設定し、成分表示や環境負荷、廃棄方法などについての表示を義務づけること。含有される有害化学物質により、人の健康または生態系に悪影響を発生させることがないよう、材料・添加剤についてポジティブリスト制の導入など「有害化学物質管理措置を講じる」こと。その上で、環境配慮設計の基準を満たさない「非持続可能な製品は、製造・利用を段階的に禁止」すること

4. 代替素材の導入に当たっては、拡大目標を取り下げた上で、当該素材の生産のための土地利用転換に伴う環境破壊やリユース・リサイクル可能性などライフサイクル全体での環境負荷、食料との競合などを含む総合的見地から検証を行い、「特に悪影響の大きい代替素材の使用を禁止する」こと。やむを得ず代替素材を導入する際には、明確な基準を設けた上で、「環境への負荷が低い素材が使用されるよう義務付ける」こと

5. 製造事業者および使用事業者に対し、上記の環境配慮設計から、使用済みプラスチック製品の分別回収・リユース・リサイクルまでライフサイクル全般にわたる責任の負担を求める「拡大生産者責任を早期に導入する」こと。市町村によるプラスチック使用製品廃棄物の一括回収の実施に関しては、拡大生産者責任の原則に基づき、「一括回収と再商品化についての費用負担を製造事業者および使用事業者に求める」こと

6. 漁具および農業用の器具などによる環境汚染を防止し資源循環を推進するため、拡大生産者責任の原則に基づき、製造事業者や使用事業者への環境配慮設計や流出防止措置の導入を義務づけること。国際的な最良管理手法などを参考に、漁具の海洋流出を防止し流出後の環境影響を軽減・回復させるために、漁具マーキングなど適切な漁具管理や流出時の報告・回収を義務付け、必要な基盤整備などを行うこと

7. 製造・流通・使用過程で生ずる一次マイクロプラスチックの環境への流出の防止のために、マイクロビーズ・マイクロカプセルなど、「意図的に使用されるマイクロプラスチックの製造・利用を早期に禁止する」こと。また、合成ゴムや合成繊維など、発生の量やリスクが特に大きいとされる製品を中心に環境への影響調査を行いつつ、予防原則の観点から「一次マイクロプラスチック発生抑制対策を早期に導入する」こと

8. 影響が広範にわたるプラスチック汚染問題の本質的な解決のためには、本法案のような個別法の設定だけでは不十分であるため、「明確な発生抑制目標を有し、プラスチック汚染問題全体を包括した基本理念となるような『基本法』を早急に制定」すること

9. 日本政府として、国連環境総会において、地球規模のプラスチック汚染を包括的に解決するために不可欠な「明確な国際目標、科学的なモニタリングと報告の体制、およびプラスチックのライフサイクル全般への包括的な規制を有する、法的拘束力のある国際協定を早期発足させるために、最大限の貢献を行う」こと

同ネットワークでは、この中で特に、5の中に出てくる「拡大生産者責任」について、新法では一括商品回収と再商品化についても費用はすべて自治体負担になっていることを問題視。「プラスチックのライフサイクル全般にわたって金銭的責任を含んだ責任分担を、自治体や納税者から生産者に移転し、生産者にしっかりと負担を求める必要がある。これを導入しなければ、結局、問題は解決しない」と強調した。また、8の「基本法」については、既に「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を国に示しており、「新法は包括的と言いつつも、漁具やマイクロプラスチックや、流出後の問題、また国際的な問題についてもカバーされていない。このため、それらすべてを包括的にカバーする傘となり、明確な発生抑制目標と達成年度を示した基本法がプラスチックには改めて必要だ」と述べた。さらに9の「法的拘束力のある国際協定」についても、「各国がバラバラに対応していては解決できない。一刻も早い制定に向け、日本が率先して取り組むべきだ」と強く主張した。

「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」は、WWFのほか、「国際環境NGOグリーンピース・ジャパン」「公益財団法人日本野鳥の会」「容器包装の3Rを進める全国ネットワーク」「特定非営利活動法人 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」「一般財団法人 地球・人間環境フォーラム」など14団体で構成している。

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。SDGsを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。