サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

マテル、持続可能性に配慮したカードゲーム「ウノ」など親子で地球環境について考えるおもちゃを発売

  • Twitter
  • Facebook

世界で最も多く販売されているカードゲームと認定されている「ウノ」を展開する玩具メーカー、米マテルの日本法人は6月5日の世界環境デーに合わせて、サステナビリティの要素を含むおもちゃを順次、発売すると発表した。カード本体やパッケージがリサイクル可能な素材で作られ、大豆由来のインクで印字された「地球にやさしいウノ」や、海洋プラスチックごみからつくられた海の恐竜のフィギュアを通して、親子で地球環境問題について話し合い、子どもたちにSDGsをより身近に感じてもらおうという遊び方の企画だ。マテルは2030年までにすべての製品とパッケージ全体で、100%リサイクルまたは植物由来のプラスチック材料を達成する目標を発表しており、おもちゃの世界にもサステナブルな流れが着実に広まっている。(廣末智子)

ウノは今年で誕生50周年を迎え、80以上の国々で年間2000万個以上販売されているカードゲーム。「地球にやさしいウノ」=6月下旬より順次発売。対象年齢7歳以上=はパッケージからカード、取り扱い説明書に至るまで紙のみを使用し、大豆由来のインクを使用した、すべてがリサイクルできる素材によるもので、持続可能な森林管理のもとで生産された原料で作られたことを示す「FSC認証」を取得している。また「ドロー5」や「一周スキップ」など自由にオリジナルルールを書き込める「白いワイルドカード」が3枚入っており、このカードに、例えば「エアコンの温度を1℃変える」「次の人は、身の回りにあるエコなグッズを見つけて発表する」「サステナブルの意味を説明できたら、好きなカードをもう1枚捨てられる」といったルール内容を書き込むことで、家族や仲間とSDGsや身近なサステナブルアクションについて遊びながら楽しく考えることができる。

また、「ジュラシック・ワールド/サバイバル・キャンプ」の関連商品として、454gの海洋プラスチックごみでつくられた、海の恐竜である「モササウルス」のフィギュアは全長約71cmの超ビッグサイズで、口の開け閉めも可能な「モササウルスの迫力はそのままにサステナブルになったフィギュア」だという=同じく6月下旬より順次販売。対象年齢4歳以上=。

米国本社、2030年までに全製品とパッケージ全体を100%リサイクルまたは植物由来材料にする

マテル社は米・カリフォルニアを本拠とし、ベストセラーブランドとして有名なファッションドール・バービー(Barbie)のほか、きかんしゃトーマスやメガブロックなど、さまざまなエンターテインメントから着想を得た玩具ラインを展開している、玩具およびファミリー向け製品のデザイン、製造、マーケティングを手掛けるリーディング企業。現在、グループの製品は150カ国以上で販売されている。おもちゃの世界でもサステナビリティの潮流に乗ることは必然で、同社は2019年12月に2030年までにすべての製品とパッケージ全体で、100%リサイクルまたは植物由来のプラスチック材料を使用する目標を発表した。

同社は昨年12月、この目標に沿った最初の製品として、ベストセラー商品の一つである生後6カ月からの赤ちゃんを対象とした知育玩具「フィッシャープライスゆらりんタワー」を、サトウキビなど植物由来の素材を90%使用した再生可能な商品としてリニューアルし、日本でも今年3月下旬から発売。また定番のバービー人形についても、使い捨てではなく、繰り返し使えるパッケージによる「バービーファッショニスタシリーズ」=対象年齢3歳以上=を発売している。

さらに同社は今年5月、「増大する世界的な廃棄物問題に対処するための重要な一歩」として、遊び終わったおもちゃを回収し、その材料から新しい製品を再生する「テイクバックプログラム」を立ち上げているが、現時点では米国での展開にとどまっており、日本で導入されるかどうかは未定という。

もっとも、日本のおもちゃの世界でも環境はもとよりサーキュラーエコノミー(循環型経済)に配慮した商品は今後、広がりを見せそう。生後間もなくからサステナブルなおもちゃに触れる日本の子どもたちが、2030年、2050年の世界でどんな世代に育っていくのか楽しみだ。

廣末智子(ひろすえ・ともこ)

地方紙の記者として21年間、地域の生活に根差した取材活動を行う。2011年に退職し、フリーに。サステナビリティを通して、さまざまな現場の当事者の思いを発信中。