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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

Z世代起業家が語る「きっかけのつかみ方」、そして「理想の社会」とは

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右上から時計まわりに、露木氏、大久保氏、村木氏、竹下氏

「思いついたアイデアはまず実行。そうすれば、面白い世界が見えてくる」――。サステナブル・ブランド国際会議2021横浜で「Z世代起業家が実現するリジェネレーション」と題されたセッションに集まったのは、自然環境、途上国支援、宇宙開発などの分野を横断しながら社会にアプローチを続けている、3人の若手起業家だ。セッション内では「理想の社会とは?」「SDGsはきれいごと?」「資本主義をどう考える?」など多くの問いに意見を交わしながら、3人のいずれもが行動力を基軸にしているという共通点も見えてきた。(横田伸治)

ファシリテーター
竹下 隆一郎 ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン 編集長 
パネリスト
露木 志奈 Shiina 代表 
大久保 夏斗 HAYAMI 代表社員 
村木 風海 CRRA / 炭素回収技術研究機構 代表理事・機構長 

登壇したのは、インドネシアでの高校生活を契機に、自然環境にやさしい商品を消費者が選択する大切さを伝える講演活動を続けている露木志奈氏、草ストローの販売・普及活動を通して途上国支援も行っている合同会社HAYAMI代表社員の大久保夏斗氏、空気中の二酸化炭素からメタンガスを作る技術を開発し、地球温暖化抑止と人類火星移住を目標に掲げる一般社団法人炭素回収技術研究機構(CRRA)代表理事・機構長の村木風海氏――の3人。いずれも20歳の起業家だ。ファシリテーターは竹下隆一郎・ハフポスト編集長が務めた。

3人はまず、それぞれの活動を紹介。露木氏は高校3年間を「世界で一番エコな学校」と呼ばれるインドネシア・バリ島のグリーンスクールで過ごす中で、自然との共生の大切さに気付いたという。肌が弱かった妹のために自作で化粧品づくりを始めると、商品製造過程での動物実験やプラスチックごみ問題などに関心を持ち、帰国後は「自分という小さな世界を変えることから始まる」をテーマに、消費者が商品選択意識を高めるための講演会やワークショップ活動を続けている。

大久保氏の目標も「人々に、未来へつながるちょこっとエコ・エシカルな選択を提供し続けること」。自然原料100%の草ストローを日本で普及させる活動を続け、現在は国内150店舗以上の飲食店が採用しているという。生産はホーチミン郊外の農村で手作りしており、途上国での雇用創出や、売り上げの一部を活用した教育支援なども手掛ける。

村木氏は、地球温暖化の抑止と火星移住という2つのテーマを、二酸化炭素の回収技術でつなげている事業内容を紹介。原点として、幼少期に読んだS F小説で「火星は青い夕日が見られる」と書いてあったことを挙げ、以降は中学・高校・大学と「人類初の火星人になること」を目標に、二酸化炭素からエネルギーを生み出す技術を研究してきたという。

3人に対し、竹下氏は「活動のきっかけとなる原体験を持っておくためのコツは?」と問いを投げた。露木氏は「きっかけが来るのを待つのではなくつかみにいくこと」、大久保氏は「とりあえず首を突っ込んでみること」と答え、村木氏も「思いついたアイデアをすぐ実行するべき。もしうまくいかなければ、元に戻せばいいのだから」と、いずれも行動力の重要性を語った。

セッションがディスカッションに移ると、まずは「どんな社会が理想なのか?」がテーマとされ、大久保氏が「全員がやりたいことをできる社会が良い」と口火を切った。露木氏が「一部の人間だけが自然に触れるのではなく、自然と人間の距離をもっと縮めたい。火星の自然も感動するのかな」と問うと、村木氏が「本来の姿を自然と呼ぶなら、火星の青い夕日も自然だ。感動するのか、ぞくぞくするのか分からない」と頬を緩めた。

「SDGsはきれいごとなのか?」というテーマには、村木氏が「形から入ることは大切。SDGsも、まずは関わる人がバッジを付けることで、周囲の人の意識も変わるはず」と指摘し、大久保氏も「バッジの効果は他にもある。付けていることで、自分に責任感も生まれるのでは」と話し、続けて「SDGsはジレンマを抱えている。例えば風力発電は環境に良いイメージがあるが、プロペラで鳥が死んでいる事実もある。矛盾から目をそらしてはいけない」と警鐘を鳴らした。村木氏も「エコバッグの製造エネルギーコストはレジ袋600枚分とも言われる。商品の製造過程から廃棄されるまでのエネルギーを考えなければいけない」とジレンマの存在に同意した。

最後に、「資本主義についてどう思うか?」という問いが投げかけられると、露木氏は「大量消費の問題や格差を生む原因にもなるが、必ずしも悪だとは思わない。仕組みは一気に変えるのではなく、例えば政治では、若者層は2票を投じられるようにするなど新しい形を少しずつ作るべき」と持論を展開。村木氏は「火星ではポスト民主主義など新しいあり方の都市国家を作って、社会実験をしてみたい。それに加えて現在は、二酸化炭素経済圏を作りたいと思っている。二酸化炭素を個人が回収し、その量に応じて仮想通貨のように運用できるようになれば、二酸化炭素が価値となって人々が積極的に集めるようになるのでは」と未来に期待を寄せた。

分野を横断して起業家らが意見を交わす中で、Z世代ならではの斬新で大胆な構想の数々が語られたセッション。竹下氏は「未来のこと、SDGsのことは次の世代の話を聞くべきだと考えている。今日登壇した3人それぞれの活動や発信に、これからも注目してほしい」と会場に呼びかけた。

横田伸治(よこた・しんじ)

東京都練馬区出身。東京大学文学部卒業後、毎日新聞記者として愛知県・岐阜県の警察・行政・教育・スポーツなどを担当、執筆。退職後はフリーライターとして活動する一方、NPO法人カタリバで勤務中。