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煙のない社会の実現のために、フィリップ モリスが挑むトランスフォーメーション――井上哲・フィリップ モリス ジャパン副社長

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世界中でいまや非喫煙の波は止まらず、それは今後も変わらないだろう。たばこ会社にとっては、抜本的な事業変革を迫られている。そうした中、フィリップ モリス ジャパンは「煙のない社会の実現」を目指し、紙巻きたばこから加熱式たばこへの転換を強力に進めている。サステナブル・ブランド国際会議2021横浜の基調講演にオンライン登壇した同社副社長の井上哲氏が、その道筋と決意を語った。(いからしひろき)

加熱式たばこへの切り替えは「社会変革」

オンラインで登壇した井上副社長は、次の写真を指して、「どこかわかりますか」と来場者にモニター越しに問いかけた。

答えは岐阜県白川郷。世界遺産にも登録されている美しい合掌造りの風景だ。写真でも素晴らしい景観だと伝わってくる。井上副社長は「人類にとって貴重な財産」と言う。

しかし、令和2年度の「消防白書」によると、年間の火災3万7000件あまりの原因の1位がたばこだという。冒頭の白川郷にも、紙巻きたばこを喫煙するたくさんの観光客、あるいは地元の人がいるだろう。もしこの貴重な財産がたばこの火の不始末で焼失されることがあれば……。

「それは絶対に避けなければならない」と井上副社長は語気を強めた。

そのため去年から同社も協力の上、白川郷エリアでは加熱式たばこ専用ブースが設けられたという。

「火を使わない、だから燃えないという加熱式たばこのメリットを活用して白川郷ひいては人類の財産を守る、画期的な取り組みだ」と井上副社長は胸を張る。

ところで加熱式たばことは何か。それを使わない人には馴染みがないだろう。

火を使わず、煙が出ない代わりに蒸気が出る。それが加熱式たばこだ。紙巻きたばこは火をつけて燃焼することで多くの有害成分出るが、加熱式たばこはそれに比べて有害物質全体で95%低減(同社製品の場合)。匂いもほとんどない。従来の紙巻きたばこの問題を解決するソリューションだと井上副社長は言う。そしてそれは「社会の変革」であるとも。

ベストチョイスは「たばこを吸わないこと」だが――

井上副社長は、アメリカがん学会の調査による「日本における紙巻きたばこの販売数」のグラフを示して、こう説明する。

「2015年9月から日本で加熱式たばこが普及し始めた。この時期を境に、紙巻きたばこが減少している。これは世界から注目されている事象だ」

事実、紙巻きたばこの販売数量は、加熱式たばこの登場以降に減少し始めた。2015年以前(2011年〜)は年1.8%の減少率だったが、2015年以降(〜2018年)は年9.5%と、2015年を境にその減少率は加速的だ。

同社は紙巻きたばこの健康問題を真摯に受け止め、少しでもたばこによる健康被害を低減できないか研究開発に取り組んできたという。その本気度を示すのが井上副社長の次の発言だ。

「ベストはたばこを吸わないこと。いま吸っていない人は吸わないで下さい。吸っている人は禁煙して下さい。これがベストチョイスです」

一方でやめられない、やめる気がない、そういう人には「ベターチョイス」として加熱式たばこに切り替えることを勧める。

これは同社にとっての事業変革であり、商品、外部環境、自社に対する「トランスフォーメーションである」と井上副社長は言い切る。ただし、変革は今、途上でもある。

「このプログレスをしっかりとモニターし、マイルストーンを置きながら日々事業に取り組んでいく」

ちなみに同社の加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」の日本シェア(2020年第4四半期)は20%、約600万人だ。そのうち約440万人は加熱式たばこから完全に切り替えたユーザーだという。

「煙のない社会」のためには多くの協力が必要

2016年、親会社のフィリップ・モリス・インターナショナルは、サステナビリティ戦略を全面的に打ち出した。「煙のない社会を目指す」というビジョンにむけて、同社がどうトランスフォームしていくかを洗い出し、その道筋をサステナビリティレポート、そして昨年からは統合報告書という形で発表している。

「目指すもの、それは煙のない社会、紙巻きたばこのない社会です。これを着実に実現していきます」

当然ながらその目標は、同社だけでは達成できない。多くのステークホルダーの協力があって始めて実現できるだろう。井上副社長はそれも当然踏まえながら「日本がスモークフリー社会になれるよう邁進したい」と力強く決意を述べて講演を終えた。

いからし ひろき

ライター・構成作家。旅・食・酒が得意分野だが、2児の父であることから育児や環境問題にも興味あり。著書に「開運酒場」「東京もっこり散歩」(いずれも自由国民社)がある。