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「SDGs映画祭」大手町など都心のビジネス街12カ所で24作品を上映

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東京を代表するビジネス街、大手町・丸の内・有楽町エリア(以下、大丸有エリア)の12カ所で、SDGsに関わるテーマの24本の映画を上映する「大丸有SDGs 映画祭2020」が8月31日に始まる。同地区を舞台にサステナブルなアクションを展開する「大丸有 SDGs ACT5」のシンボルイベントで、店舗や各種施設など街のいたるところを会場とする、SDGsに特化した映画祭は「日本初の試み」だという。仕掛人のひとり、三菱地所の井上成プロデューサーは「ビジネス目線をもって、同僚たちと社会課題解決に向けた考察、議論を交換してもらうことを期待しています」と狙いを話す。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本 啓一)

「リアルな姿に共感する」長編17作品

「大丸有 SDGs映画祭2020」は8月31日(月)~9月5日(土)の6日間。SDGsに関連したテーマの映画を、店舗やインキュベーション施設、アトリウムなど、ビジネス街のさまざまな場所とオンラインで上映する。上映作品は短編7本・長編17本の計24作品。短編作品は俳優の別所哲也氏が代表を務める「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」が、「水の番人(上映時間8:43/2015年 メキシコ)」などを厳選した。

長編17作品は「大丸有SDGs ACT5 実行委員会」が5つの独自カテゴリで選定した。その意図を、プロデュースチームの井上成氏(三菱地所エリアマネジメント企画部担当部長/エコッツェリア協会理事/大丸有SDGs ACT5実行委員会運営委員長)はこう説明する。

「SDGsの17の目標が『対象』にしているのは、大きく分けて、『有限な自然環境を守ること』と『世界中の人たちの権利や幸せを守ること』の2つだと考えています。ただ、それが『別々の問題』なわけではなく、お互いに影響を与え合っていたり、繋がっている部分や、似た構造上の問題から起きていることなどもあります。

本映画祭でも、その双方に、参加者の方に横断的に触れていただきたいと考え、5つのテーマを設定して17作品を選定しました」

①「幸せとは?」から始めよう
happy – しあわせを探すあなたへ(2012年 アメリカ)
ハッピー・リトル・アイランド(2013年 ギリシャ)
台北カフェ・ストーリー(2010年 台湾)

②身近なものから学ぶ「サステナブル」
0 円キッチン(2015年 オーストリア)
ザ・トゥルー・コスト(2015年 アメリカ)
シード ~生命の糧~(2016年 アメリカ)
プラスチックの海(2016年 イギリス・香港)
アーティフィッシャル(2018年 アメリカ)

③「気候変動」を多角的に学ぼう
地球が壊れる前に(2016年 アメリカ)
気候戦士(2018年 ドイツ)
グリーン・ライ ~エコの嘘~(2018年 オーストリア)

④紛争下で希望の種を育む人たち
The Price Of Free(2018年 アメリカ)
難民キャンプで暮らしてみたら(2015年 アメリカ)

⑤多様性のある社会づくりとは?
ジェンダー・マリアージュ(2013年 アメリカ)
ハーフ(2013年 日本)
インディペンデントリビング(2019年 日本)
バベルの学校(2013年 フランス)

井上氏は「それぞれのテーマから1作品ずつ観ていただくだけでも、世界で今起きている多様な問題を、俯瞰して見ていただけるのではないかと考えています」と言い、SDGsを頭で理解するだけでなく「大切なのは『共感』できるかどうか」だと話す。

「なぜこうした目標(SDGs)が作られているかといえば、実際に世界で、困窮している人や苦しんでいる人、損なわれている自然環境、生物などが存在しているためです。そのリアルな姿に映画を通じて触れる、感じる、共感することで、SDGsに向き合う姿勢や、達成に向けた想いの強度も、変わってくるのではないかと思っております」

コロナ禍で求められる「複数の選択肢」

Photo by Steven Su

現在、コロナ禍にあって多くのイベントが自粛・中止の判断をしている。「大丸有エリア」の活動においても安全・安心を担保するため、開催するべきかどうか相当な議論を重ねたという。結果として座席のキャパシティを25%まで減少する、消毒・検温の実施などオペレーション上の対策をした上で、リアル会場でも上映することを決めた。

「4300の事業所、28万人の就業者を抱えるビジネス街・大丸有にとって、『複数の選択肢をご用意する』ことが、今後のワークスタイルにとって重要と考えるからです」と井上氏は理由を説明する。コロナ禍の働き方を含めた新たなライフスタイルを模索する中での「ハイブリッド開催」の決断だった。

井上氏は「就業者ひとりひとりが、自分の置かれた環境の中で、ビジネス目線をもって社会課題解決に向けた考察、議論を、一緒に映画を視聴した同僚達と交換してもらえれば」とビジネス街での「映画祭効果」に期待を寄せる。

「大丸有エリア」でSDGs達成への取り組み加速

大丸有SDGs ACT5は大丸有エリアで2020年5月から11月までの約半年間、「サステナブル・フード」「気候変動と資源循環」「ダイバーシティ」「WELL-BEING」「コミュニケーション」という5つのテーマを掲げ、現在は31のアクションを展開中だ。

高速バスの空きトランクを使った貨客混載の取り組み「産地直送バスあいのり便」を活用し、産地のフードロス削減を目指すアクションや、都市と地域の循環モデルへの挑戦、社員食堂を活用したフードロス削減の取り組み、ダイバーシティ&インクルージョンを促進する研修プログラムなど、期間中に「テーマごとに実証的な取り組みから情報発信まで多岐にわたるアクションを展開予定」だという。

実行委員会を構成するのは三菱地所や農林中央金庫など、8つの企業・団体。「それぞれの持つリソースをオープンにし、クロスさせることで次々と有機的な繋がりが生まれています。この繋がりを大丸有エリア内に広げ、企業の輪を大きくしていくことを目指し、SDGsが掲げる2030年まで続けることを目標に活動を展開しています」と井上氏は意気込む。

大丸有 SDGs 映画祭 2020

会期 :2020 年8 月31 日(月)~9 月5 日(土)
会場 :大丸有エリア内のビル10 棟、全12カ所のスペース
チケット:有料・無料あり(オンラインイベント参加は有料)
初日と最終日にトークショー開催

※上映スケジュール、参加申し込み、会場詳細は 大丸有SDGs 映画祭公式ページ

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。