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ジップロックをシェア傘に回収・再生、旭化成・テラサイクルなど4社が連携

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デザインを担当したBEAMS COUTUREはアップサイクルを手法として取り入れ、ライフスタイルを提案するブランド

旭化成ホームプロダクツなど4社は29日、家庭で使用したジップロックを駅などに設置する「シェア傘」として回収・リサイクルする取り組み「Ziploc RECYCLE PROGRAM」を発表した。回収、リサイクルをテラサイクル ジャパンが担い、Nature Innovation Group(東京・渋谷)のシェア傘サービス「アイカサ」で運用する。傘のデザインはビームスが展開するブランド、BEAMS COUTUREが監修した。当面は1000本のリサイクル傘をアイカサに投入する予定。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

「Ziploc RECYCLE PROGRAM」では、発表のあった29日からテラサイクルのウェブサイトで、使用済みジップロックの一般回収を開始。9月中旬からは、生産過程で出る廃棄品を使用したリサイクル傘のシェアサービス運用を、西武鉄道池袋線の池袋〜飯能駅を中心に都内で開始する。

回収はウェブから申し込む

単にプラ製品をリサイクルするだけでなく、「使いたくなる工夫」としてBEAMS COUTUREによるデザインを取り入れ、さらに「アイカサ」上でシェアリングすることで、より製品寿命を延ばし、廃棄物そのものの連鎖的な削減にも貢献する。

当面は1000本のリサイクル傘を投入、1年間程度の期間を見込むが、利用状況や反響によって今後、展開を継続する可能性もあるという。

統計的に都内で一日雨が降れば15万人程度が傘を購入し、ビニール傘だけで日本全国では毎年8000万本が使い捨てられていると推定されているという。

「この1000本はかなり人気が出ると予想している。例えば、年間100日間雨が降り、1000本のすべてが稼働した場合、10万回の利用になる。1000本がもたらす価値は大きいと考えている」とアイカサの丸川照司代表は説明する。

1000本は西武池袋線の各駅と、一部の 首都圏のスポットに設置。借りた傘は都内、愛知県名古屋市など都市圏を中心に約700カ所で展開する「アイカサ」サービススポットならどこでも返却可能。公式アプリをダウンロードし、QRコードを読み込んで利用する(写真は池袋駅のアイカサスポット)

これまでにも多くの循環型モデルのビジネスを構築してきたテラサイクルのアジア・リージョナル・マネージャーのエリック・カワバタ氏は「バリューチェーンの構築まで行え、循環型経済の素晴らしい事例ができた。こういった取り組みが拡大し、将来的に経済合理性が出ることを目指している」とプログラムに自信を見せる。

旭化成消費財マーケティング室の坂元善洋室長は 「ジップロックという身近な商品を通じて、リサイクル活動も身近に感じていただき、プラスチックをリサイクルする仕組みについて利用者が考えるきっかけになれば」と意義を語った。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。