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環境省が気候危機宣言 脱炭素・循環経済・分散型社会への移行を進める

環境省は12日、気候危機を宣言した。小泉進次郎環境相は、2020年を「危機的な地球環境に対応する節目の年」とし、経済社会そのものを持続可能でレジリエントなものに変革していくことが不可欠と語った。とくに、食や電力の地産地消など衣食住や働き方といったライフスタイルの変革が二酸化炭素の大幅な削減につながると強調した。世界では新型コロナウイルス感染症の拡大により、環境政策を重視する傾向が強くなっている。環境省が今後、気候危機への取り組みをどう政策決定プロセスに組み込んでいくかも注目される。

小泉環境相は、同省が独自に気候危機宣言を出したきっかけの一つとして、昨年末のCOP25を前に意見交換をした若者やNGOから同宣言を求める声があったと説明した。小泉環境相は今月初めにも、地元の横須賀市で気候変動対策を求める若者団体「フライデーズ・フォー・フューチャー横須賀」から、2023年以降に稼働を目指す横須賀を含む国内の石炭火力発電所の建設中止を求める190通の手紙を受け取ったばかり。実は環境省の気候危機宣言に実際の宣言文はないが、小泉環境相は検討すると答え、「宣言文を作る場合には、そうした若者の思いを加味することが大事。なんといっても、気候危機の影響を最も受けるのは将来世代の若者たちだ」と語った。

なお同宣言は、世界30カ国1700以上の自治体が発表している「気候非常事態宣言」とは異なる。環境相は「気候非常事態宣言は議会が出すもの。議会から出してもらうことが危機感の共有になる。これについては超党派の議員連盟で動いている」とした。

同日に閣議決定された「令和2年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」には、初めて気候危機という言葉が盛り込まれた。気象災害が激甚化し、さらに今後も頻発化していくことが予測される中、「単なる『気候変動』ではなく、私たちやすべての生き物にとっての生存基盤を揺るがす『気候危機』と言われている」と記されている。

今回の白書では、新たに「一人ひとりから始まる社会変革」という章が設けられた。国内の温室効果ガス排出量の約6割を食費やレジャー費など家計消費が占めていることから、ライフスタイルの変革を促すことで排出量を大幅に削減する狙いだ。具体的には、住宅への再生可能エネルギーや地域木材の導入、地産地消や有機食品の消費と食品ロスの削減、環境に配慮した衣服や衣服のリユース・リサイクル、Maasやグリーンスローモビリティの活用、自然が豊かな地方などでのリモートワークなどを勧めている。

小泉環境相は「気候危機宣言を契機に、今後は多くのプレイヤーと危機感を共有して社会変革を促していきたい。新型コロナそして気候危機をチャンスに変えていくには、脱炭素、循環経済、分散型社会への移行を進め、ポストコロナの経済社会の再設計(Redesign)を各所と連携して進めていく必要がある」と語った。10日には、丸井グループなど「気候変動イニシアティブ」に参画する企業とポストコロナの経済復興について意見を交わした。「リーマン・ショックの教訓を生かし、二酸化炭素の排出量が再びリバウンドして増加しないようにする必要性がある」と言う。

来たる9月、小泉環境相は来年に延期されたCOPの締約国が参加するオンライン会議を自らの呼びかけで開催する。環境に重点を置きながら、持続可能な社会・経済を構築する復興方針「グリーン・リカバリー」をどのように実現するかを参加国が共有する予定。小泉環境相は気候危機宣言を出したことを皮切りに、日本版グリーン・リカバリーの基盤を築いていく考えで、政府全体で気候危機対策を進められるよう努めたいと話した。