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「ブループラネット賞」を受賞したジャレド・ダイアモンド教授らが日本の若者に提言

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左からジャレド・ダイアモンド教授、エリック・ランバン教授


地球環境問題の解決に向けて貢献した個人または組織に対してその業績を称える地球環境国際賞「ブループラネット賞」を2019年は、『銃・病原菌・鉄』や『文明崩壊』などの著作で知られる米国の作家、ジャレド・ダイアモンド教授と、土地利用の変化とそれによる生態系や経済活動への影響を研究するベルギーのエリック・ランバン教授が受賞した。12月10日の受賞記者会見で、ジャレッド教授は日本が気候変動の影響を受けやすい国であり、若者は将来を見据え、気候変動を助長する政策にきちんと発言した方がいいと提言した。(環境ライター箕輪弥生)

今年で28回目を迎えるブループラネット賞(地球環境国際賞)は、150件の受賞候補者の中から米国の作家、歴史学者であるジャレド・ダイアモンド教授と、ベルギーのエリック・ランバン教授が受賞した。

ダイアモンド教授は、長年ニューギニアでジャングルの奥深くまで入り込み、鳥類をはじめとした生物学などの研究を行っていた地理学者、生物学者だった。ダイアモンド教授は「50歳の時に双子の息子が生まれ、子どもたちが生きていく2050年に世界はどうなるのかを考え、キャリアをシフトした」と振り返る。その後は生物学的な視点を持ちつつも、歴史家として地理や歴史、環境が人々にどのような影響を与えるのかを多くの書物で解き明かしてきた。

1997年に出版した『銃・病原菌・鉄』はピュリッツァー賞を受賞。これに続く『文明崩壊』、 『昨日までの世界』『危機と人類』の書籍を通じて「環境問題は人類の歴史の基礎である」として環境問題の根源を国や世代を超えて洞察し、現代文明の解決へのヒントを投げかけている。

一方のベルギーのエリック・ランバン教授は、衛星リモートセンシング技術と独自の時系列解析手法を用いて、世界の土地利用の変化がどのように生態系や社会に作用するかを研究している。衛星リモートセンシング技術とは、人工衛星に測定器を搭載し、地球を観測する手法だ。ランバン教授の研究は、公共機関や民間企業における森林保護のための土地利用の方針にも大きな影響を与え、森林認証制度の活用やグリーン調達の推進への科学的根拠を提供した。

ランバン教授は受賞について、気候変動について多くの地域でデモが起き、人々の危機感が高まっている時期に受賞できたことはタイムリーだったと話す。そして、特に若者が次の時代へのカギを握っていると指摘する。

環境を学ぶ日本の学生や研究者に対し、ランバン教授は「課題に対して大きな視野を持って取り組み、スキルを持つこと、事例研究やフィールド研究を行うこと、この3つを組み合わせれば解決策が見つかるはずだ」とアドバイスした。

ダイアモンド教授も、若者が現在の気候危機の影響を多く受けることは明白であり、具体的に何ができるかを今考えなければならないという。特に日本は、エネルギー資源を他の国に頼っており、気候変動の影響をより受けやすい国だと分析する。

日本の3大メガバンクが石炭火力発電所へ投資をしていることにもふれ、日本の政治的リーダーや金融機関が気候変動の解決策から大きく外れることを行っている場合は、しっかりと声をあげることが必要だと強調した。そのためにダイアモンド教授は日本の若者に「vote(投票する)、talk(話し合う)、make noise(声を上げる)」の3つの行動を提言した。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。

http://gogreen.hippy.jp/