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みんな電力の「顔の見える電力」が最優秀賞――第7回グッドライフアワード

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環境省主催の「グッドライフアワード」の表彰式が11月30日、東京港区の青山TEPIAホールで行われた。グッドライフアワードとは人々のライフスタイルに影響を与えるエコソーシャルな取り組みを全国から発掘し、応援するプロジェクト。7回目となる今回は243件の応募から10の環境大臣賞と28の実行委員会特別賞が選ばれ、環境大臣賞の最優秀賞にはみんな電力の「顔の見える電力」が受賞した。いずれも環境にやさしいだけでなく、利用してみたい、行ってみたいと思わせるユニークなアイデアが光る。(いからしひろき)

オープニングトークでは、環境省総合環境政策統括官の中井徳太郎氏がアワードの主旨を説明。前日速報された日本の温室効果ガス排出量5年連続減の成果を踏まえつつ、2050年80%減の目標のためには「人々のライフスタイルのイノベーションが最も大切。そこにリーチするのがこのグッドライフアワードの取組だ」と述べた。

続いてのカンファレンスでは、楽天サステナビリティ部シニアマネージャーの眞々部貴之氏と、第5回最優秀賞のパン・アキモト、秋元義彦氏が登壇。眞々部氏は「45%の人がサステナブルと知らずに該当商品を買っている。そうした層をいかに取り込むかが大事」と説いた。秋元氏は自らの経験を踏まえ「受賞はゴールではなくスタート」と訴えた。

その後、オルタナ編集長で本アワード実行委員である森摂氏がSDGsビジネスについて、グッドライフアワード総合プロデューサーでBBT大学グローバル経営学科長・教授の谷中修吾氏がアワードの取組についての解説を行った。

コーヒーブレイクを挟み、いよいよ環境大臣賞10組(最優秀賞1件、優秀賞3件、各部門賞6件)の受賞者によるプレゼンテーションが行われた。

受賞者は、プレゼン順に以下の通り。なお、【 】内は取組主体、うち()内は活動拠点の都道府県。
※敬称略、詳細はこちら

○各部門賞(6件)
(地域コミュニティ部門)
・「奥飛騨・高山自然エネルギーの里構想」始動!
【シン・エナジー株式会社、奥飛騨自然エネルギー合同会社、奥飛騨水力発電株式会社、飛騨高山グリーンヒート合同会社(岐阜)】

(NPO部門)
・ごみ拾いはスポーツだ!スポGOMI大会
【一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ(東京)】

(NPO部門)
・エコな地域循環共生圏の担い手作り
【一般社団法人 ローカルグッド創成支援機構(東京)】

(学校部門)
・2世代教育(100年)による6次産業化を目指した次世代里山利用デザイン・プロジェクト
【新渡戸文化学園(東京)】

(企業部門)
・結の森プロジェクト
【コクヨ株式会社(高知)】

(企業部門)
・世界初!環境にやさしい石けん系消火剤でインドネシアの森林を守る
【シャボン玉石けん株式会社(福岡)】

○優秀賞(3件)
・福島から"おいしい革命"を目指す青空レストラン ~Food Camp~
【株式会社 孫の手(福島)】

・地域資源を活かした資源循環のまちづくり
【みやま市(福岡)】

・TABETE
【株式会社コークッキング(東京)】

○最優秀賞(1件)
・発電者と消費者、自然エネルギーと消費地をつなぐ「顔の見える電力」
【みんな電力株式会社(東京)】

それぞれ場所も内容も異なり、始めた動機も成果も異なるが、すべてに共通するのが“環境にやさしいだけでなく、実際にやってみたい、行ってみたい、使ってみたいと思わせる“ものだということ。例えば「スポGOMI大会」や「Food Camp」は環境にやさしい以前に単純に楽しそうだし、「顔の見える電力」はまるで産直野菜のようで純粋に買い物の楽しみが味わえそうだ。総合プロデューサーの谷中修吾氏も先の解説で「当事者が”ワクワクドリブン“で活動に取り組むことが重要」と説いたが、その結果として、取り組み自体も”ワクワク“するものになのだろう。

表彰式は、28の実行委員会特別賞(受賞者はこちら)、10の環境大臣賞の順で行われた。環境大臣賞の受賞者には表彰状の他、第5回優秀賞を受賞した東京チェンソーズ制作の盾が送られた。

第7回グッドライフアワード環境大臣賞受賞者
第7回グッドライフアワード実行委員会特別賞受賞者

それぞれ受賞の喜びを語ったが、中でも最優秀賞のみんな電力株式会社の大石英司社長の、「(会場にいるご子息に)忙しくてキャッチボールしてあげられなくてごめん。でも君たちの世代に負の遺産を残さないよう頑張っている」という言葉が、同じ子を持つ親として胸に響いた。

イベント終了後、益田文和実行委員長は個別取材に対し、「7年続けてきて、どんどん良くなってきている。受賞者は自分のやっていることがどう環境に作用しているかちゃんとわかっていて、プレゼンでも数字で表してくるし、明確な目情も持っている。こうした取組を続けていけば日本はきっと良くなるはず」と総評。SDGsに取り組む多くの企業へ、今後の積極的な参加を呼びかけた。

いからし ひろき

プロライター。2人の女児の父であることから育児や環境問題、DEIに関心。2023年にライターの労働環境改善やサステナビリティ向上を主目的とする「きいてかく合同会社」を設立、代表を務める。