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鎌倉市が気候非常事態宣言:「気候危機の実態を全力で市民に周知」

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神奈川県鎌倉市議会は4日、気候非常事態宣言(CED)を決議した。国内の自治体では9月に宣言を発表した長崎県壱岐市に続き、2例目。決議では「世界の地方自治体が『気候非常事態』を宣言し、包括的な行動計画を立案、実施する動きが燎原の火のごとく広がっている」と指摘。「気候危機」が迫る実態を「全力で市民に周知すること」などを議会が市に対して求めた。同市は今後、宣言と具体的なアクションに向け体制を整える。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

鎌倉市議会が行った「気候非常事態宣言に関する決議」では冒頭、「人類の活動を主な要因とする気候変動によって地球環境は劣化し、もはや持続可能とは言えず、我々の生活も脅かされている状態である」と明言。2018年のCO2排出量が過去最高の約331億トンに達したことなどのデータを明示し、「地球に長期的な変化を及ぼしかねない危機的状況」と現状を分析している。同市議会は「気候危機が迫る実態を全力で市民に周知する」など4つのアクションを鎌倉市に対して要請した。同市は「現時点ではまだ担当部署なども決まっていないが、これから動き始める」とCEDの発表、具体的アクションへ向けて体制を整える構え。

鎌倉市は9月に国内で初めてCEDを発表した長崎県壱岐市と同じく、SDGs未来都市。これらSDGs未来都市が口火を切り、世界に広がる「燎原の火」が国内にも波及してきた。

鎌倉市議会 気候非常事態宣言に関する決議 全文

人類の活動を主な要因とする気候変動によって地球環境は劣化し、もはや持続可能とは言えず、我々の生活も脅かされている状態である。近年の異常気象による災害、熱中症・感染症の増加、農作物・生態系の変化などの実態を見れば、そのことを否定することは難しい。

温室効果ガス排出量は増加の一途をたどり、2018年の二酸化炭素(CO2)排出量は、過去最高の約331億トンに達したことが、国際エネルギー機関(IEA)の報告書で明らかになった。

また、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書によれば、今世紀末の世界平均気温の変化は0.3~4.8度の範囲、平均海面水位の上昇は0.26~0.82メートルの範囲となる可能性が高く、地球に長期的な変化を及ぼしかねない危機的状況にあると言える。

このような状況の中、オーストラリア南東部の自治体デアビン市が2016年12月に初めて宣言してから、世界の地方自治体が「気候非常事態」を宣言し、包括的な行動計画を立案、実施する動きが燎原の火のごとく広がっている。

日本の自治体もこの動きに呼応するべきであると考え、本市議会は鎌倉市がSDGs未来都市として、下記のような国際基準を踏まえた「気候非常事態宣言」を行うよう求める。

1 「気候危機」が迫っている実態を全力で市民に周知する。
2 温室効果ガスのゼロエミッションを達成することを目標とする。
3 気候変動の「緩和」と「適応」、「エシカル消費」の推進策を立案、実施する。
4 各行政機関・関係諸団体等と連携した取り組みを市民とともに広げる。

以上、決議する。
令和元年(2019年)10月4日
鎌倉市議会

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。