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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

物流企業ハコブがビッグデータを活用し、持続可能な物流システムを構築へ

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物流スタートアップの会社Hacobu(ハコブ、東京・港)は、ビッグデータと情報システムを活用することで企業間物流の様々な課題を解決する「Sharing Logistics Platform®(シェアリング・ロジスティクス・プラットフォーム)」構想を発表した。企業間物流の世界ではいまだに手書きの納品書や電話・ファクスなどアナログ手段が中心。その非効率性からドライバー不足やトラックの低積載率など様々な弊害が起き、業界の持続可能性が危惧されている。そうした課題をIoTで解消しようという取り組みに、大和ハウス工業やアスクルなど大手6社が賛同。他業種企業で連携しながらこの構想の実現を目指す。(いからしひろき)

三木孝行・三井不動産常務、桜井秀雄・アスクル執行役員、佐々木太郎・HacobuCEO、土川元・ソニーChief Investment Manager、浦川竜哉・大和ハウス工業常務 兼 ダイワロジテック社長

東京・ミッドタウン日比谷で19日に行われた記者発表会の冒頭で、Hacobuの代表取締役社長CEO佐々木太郎氏は「いまはまさに“物流クライシス”。究極的にはスーパーに物が並ばない、安価に物が買えないという時代が来るかもしれない」と危機感をあらわにした。

問題となっているのは、いまだ紙や電話、FAXなどに頼るアナログな納品や連絡の作業。そのため、倉庫の前で納品を待機するトラックの行列ができ、ドライバーを長時間拘束している。また、トラックがスムーズに手配できないことによる積載物と積載量のミスマッチも起きている。このため、ドライバー不足であるにも関わらず積載率がわずか46%と、日本を走るトラックの半分以上が空という状況になっている。

これらを解決するためのサービスとして同社が提供するのが「MOVO(ムーボ)」だ。トラックの入場受付やバース(荷物積み卸し場所)管理をデジタル化することで、トラックの待機時間の削減、積み卸し作業の効率化などが図れる。すでに全国1800の物流拠点で導入。パートナー企業のアスクルでは、このサービスを現在4つの物流センターに導入し、トラックの平均待機時間が1/3以下に減るなど効果を上げている。

佐々木社長は、MOVOの導入拠点を2023年までに30000拠点に増やしたい考え。その上で2025年までに実現したいのが、MOVO上でメーカーや運送会社などが連携し、蓄積されたビッグデータを活用した物流の最適化、名付けて「Sharing Logistics Platform®(シェアリング・ロジスティクス・プラットフォーム)」構想だ。

「これが実現すると、ホテルやエアラインでは当たり前の“ダイナミックプライシング“が可能になり、例えば繁忙期は高く、閑散期は安く運賃をすることで物流量の平均化が図れる。また入出荷データを分析することで共同配送をデジタルに提案することも可能」(佐々木社長)

この構想に大手企業も賛同。既存の大和ハウス工業、アスクル、Sony Inovation Fund、日本郵政キャピタルに加え、今回新たに日野自動車、三井不動産が資本業務提携を結んだ。

「2030年の自動運転トラックの実用化の際には、その情報基盤の土台になりたい」と佐々木社長は話す。

持続可能な物流業の未来のために、他業種企業連合が動きだした。

アスクルの桜井氏は「MOVO」を「九方良しのサービス」と説明。トラック稼働の無駄を減らすことでCO2削減にも寄与する
いからし ひろき

プロライター。2人の女児の父であることから育児や環境問題、DEIに関心。2023年にライターの労働環境改善やサステナビリティ向上を主目的とする「きいてかく合同会社」を設立、代表を務める。