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板野友美さんも出演 SDGs未来都市・横浜市がテーマの短編映画公開

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SDGs未来都市・横浜市をテーマにした短編映画「乗り遅れた旅人」が31日、YouTubeで公開された。坂井悠莉さん、シブリさん、根岸季衣さんのほか、元AKB48メンバーで女優の板野友美さんなどが出演。客船に乗り遅れた外国人観光客に、少女が「大丈夫?」と声をかけ、人の交流が生まれる物語。監督の古波津 陽氏は「SDGsは広い視野、長いスパンで捉えなければならない。観た人が未来のことをふっと考えてくれるような映画になっている」と意図を話す。監督とキャスト陣に話を聞いた。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

板野友美さん

上映時間20分の短編映画「乗り遅れた旅人」は、SDGs未来都市の横浜市が企画し、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)を運営するショートショート実行委員会が製作、YouTUubeで公開した。坂井悠莉さんが演じる主人公のひなが、客船に乗り遅れた外国人のアミールに「大丈夫?」と声をかける冒頭が印象的だ。ひなはアミールを助けるため奮闘する。時には文化の違いから仲違いをしてしまうが――。物語の中ではさまざまな地域の課題がさりげなく描かれ、多様な人のつながりを起点に課題を解決する。

自身も横浜出身の板野友美さんは「この映画を通してSDGsを知りました。根底にあるのは人と人のつながりなのかな、と思います。(アミールのような)外国人でも関係なく、困っている人がいれば家族と同じように愛をもって接する。そういう気持ちで演じられました」と、フィルムへの思い入れを話した。

「与えてもらうよりも与えられるような社会にしていきたい。何かされたいという欲求よりも『何かしてあげたい』という気持ちを、一人ひとりが持つことによって社会全体が豊かになるんじゃないかなと思います」(板野さん)

シブリさん

主人公の「ひな」に助けられる、もう一方の主人公「アミール」を演じたのはパキスタン出身のシブリさん。13歳から日本で暮らす。「日本では世界のほかの地域であるような、パキスタンに対する差別感は一切ない。フィルムでは自分が普段、こうなったらいいなと思うことがストーリーになっています。みんなで助け合う、お互いに話しかける、みんなで笑う、みんなでひとつになっていこう、と。『大丈夫?』と一言寄り添って歩み寄るだけで、人生が変わると僕は信じていますね」(シブリさん)

根岸季衣さん

地域の交流を生む印象的な空間として描かれるカフェのマスターを演じたのは根岸季衣さん。作品全体のテーマの要とも言える役どころだ。SDGsについて、「17項目ありますが、ベースとなることはみんなが、少しでも無理なく過ごせるように、という一点ですね」と本質を捉える。「ちょっと気持ちを切り替えれば実現できることだ、と監督が誘導してくれた。肩が凝ることじゃなく、自分の世界を広げるのって楽しいじゃない、と観た人が思ってくれれば十分。易しい言葉なんです。映画を見て、こういうことって可能なのかもしれないな、と思えるだけでいいんじゃないかな」

監督を務めた古波津 陽氏は「横浜市では、市民力を常に発揮して、市民が行政と一緒に街づくりのガイドラインを作っているという事例もあります。この市民力を物語に落とし込みました」と隠れたテーマを話した。「単にローカルではなく『未来』というキーワードがある。SDGsは長いスパン、広い距離感でものごとを考えます。出来事としては1日の物語ですが、エンディングで未来の社会をふっと考え、感じてほしいなと」と狙いを話す。

坂井悠莉さん(左)と古波津 陽監督

魅力的なキャラクターたちに彩られ、フィルムはSDGsを知らない人が見ても違和感がなく楽しめる内容に仕上がっている。起伏に富んだ物語でありながら、根岸さんの言うように「実現できること」という身近さもある。

「(映画は)舞台背景に社会があることが多く、社会課題が自然と浮かんできやすいジャンル。そこに新しいアイデアで、主人公たちが障壁を乗り越える。こういう乗り越え方はどうだろう、とテストケースとしてシミュレーションができるんです」(古波津監督)

主役のひなを演じたのは9歳の子役、坂井悠莉さん。印象に残ったシーンは「みんなでカレーを作るシーン。いろんなアクシデントを乗り越えて、ハプニングの中で出たアイデアが詰まったカレーだから、いいなと思った」と話す。どんな大人になりたいですか、と尋ねると「あの人はいい、あの人はだめ、というのをなくして、みんなが仲のいい平和な人生を送りたいです」と将来への希望を話した。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。