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横浜市とユーグレナ、バイオ燃料の地産地消を目指し連携

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SDGs未来都市・横浜市とバイオ燃料事業を手がけるユーグレナ(東京・港)は23日、バイオ燃料の利用促進に向けて包括連携協定を締結した。市内の飲食店等から出る廃食油を回収し、原料としてバイオ燃料を精製。市内を走る一部の路線バスや物流トラック、工事現場の重機などに同燃料を利用し、バイオ燃料の地産地消を目指す。バイオ燃料の普及啓発には昨年発足した「横浜SDGsデザインセンター」を活用し、持続可能なまちづくりの取り組みを促進する狙い。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

バイオ燃料は利用によって温室効果ガスの削減が見込まれ、石油燃料の代替として注目が集まる。しかしその国内の使用量はEUの1/20以下と、日本は「バイオ燃料後進国」と言われる。そんな中、ユーグレナはミドリムシや廃食油を原料としたバイオディーゼル事業を手がけ、横浜市に日本初となる「バイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント」を建設するなど、積極的に事業を展開している。

今回の包括連携協定の具体的な取り組みとしては、川崎鶴見臨港バスの路線バスや、清水建設の市内の建設工事現場の重機などにユーグレナがバイオ燃料を提供するほか、横浜市内の飲食店と提携し、回収業者を介して回収した廃食油を新たなバイオ燃料の原料として活用する。これにより官民連携によるバイオマス燃料の地産地消モデルの構築を狙う。

写真は6月、軽井沢G20関係閣僚会合時にバイオ燃料を利用し走行したいすゞ自動車のバスとユーグレナの出雲 充代表

また鶴見区内の小学校でバイオマス燃料や環境に関する出張授業を予定。連携協定に先駆けて今年5月、横浜市内の小学校1校から廃食油の回収、環境をテーマにした出張授業、いすゞ自動車と協力し、バイオマス燃料で走るバスの乗車体験などを行った。

横浜市側は、SDGsの目標達成に向けて環境・経済・社会的課題の統合的解決を図る中間支援組織「横浜SDGsデザインセンター」を活用する。地域でのバイオ燃料利用を促進するため、企業への啓発活動や、イベントでの積極的なバイオ燃料利用、プロモーション活動を展開するという。

横浜市、ユーグレナの両社だけでなく、市内の企業や学校を広く巻き込み、CO2削減、低炭素経済の実現という大きな目標を見据える。ユーグレナ コーポレートコミュニケーション課の和泉智香氏は「SDGs達成に寄与する街づくりに先駆けて貢献していきたい」とし、「今後、本取り組みに協力していただける企業等との連携を進め、バイオ燃料の利用拡大・普及等、具体的な取り組みを進める」とパートナーシップを強調した。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。