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大川印刷がSDGsに取り組み「社会的印刷会社」を標榜

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本社食堂で行ったSDGs経営計画策定ワークショップの様子

「CO2ゼロ印刷」や「認証紙の使用」、「石油系溶剤0%のインキ」などSDGs(持続可能な開発目標)を経営計画に取り込み、自らを「ソーシャルプリンティングカンパニー」と名乗る印刷会社が神奈川県横浜市にある。1881年創業の大川印刷だ。同社の大川哲郎社長は、中小企業がSDGsに取り組む最大のメリットを「従業員が元気になり、長期的な計画をブレずに考えられること」と断言する。(オルタナS編集長=池田 真隆)

同社では2002年から社会起業家の調査研究を始め、翌年にはCSRの研究を行った。「ソーシャルプリンティングカンパニー」と名乗ったのはそれから3年後の2005年。本業を通じて社会的課題の解決に取り組んだ。

NPOなどとパートナーシップを組んでいたこともあり、SDGsの17目標の達成にも寄与できるのではないかと考え、経営計画に落とし込んだ。本業と関係の深い、4つの重要課題を特定した。

「FSC森林認証紙」「ノンVOCインキ」「ゼロエミッション」「自然エネルギー」の4つである。

2005年から環境や人体に有害なVOC(揮発性有機化合物)を含まないノンVOCインキを導入。2005年時点でカラー4原色の切り替えを完了した。

2004年からはFSC森林認証紙を積極的に使用。違法伐採の防止、持続可能な資源への活用へとつなげている。

2007年からは全社の電気使用量によるCO2年間排出量を計測し、排出量の削減を行う。2016年には、自社印刷事業により排出される年間のCO2を算定し、その全量をオフセットする「CO2ゼロ印刷」を始めた。

2017年には工場内で使用する電力を自然エネルギー100%に切り替える「再生可能エネルギー100%印刷プロジェクト」をスタート。横浜市内の戸塚にある工場の屋根に自家発電用の太陽光パネルを設置しており、印刷機などを動かす電力を発電する予定だ。不足した電力は再生可能エネルギーで発電された電力を電力会社から購入する。昨年には、環境省の「中小企業版2°目標・RE100の設定支援事業」に採択された。

同社の大川社長は中小企業がCSRやSDGsに取り組む一番のメリットについて、「従業員が元気になること」とする。さらに、企業として目指すべき軸を見つけることにもつながるという。「SDGsに経営計画を落とし込めば、2030年までブレない計画を立てられる」と話す。

池田 真隆 (いけだ・まさたか)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナS編集長
1989年東京都生まれ。立教大学文学部文芸思想学科卒業。大学3年から「オルタナS」に特派員・インターンとして参画する。その後、編集長に就任し現在に至る。オルタナSの編集及び執筆、管理全般を担当。企業やNPOなどとの共同企画などを担当している。
「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。