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住友林業が木造で超高層ビル、実現の鍵は耐火問題

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木材を使い、地上350メートル(70階相当)の超高層ビル建築を目指す構想がある。住友林業の「W350プロジェクト」だ。超高層建築物を木造化する技術開発を通じ、環境緑化を進める一方で国産材の需要を高め、林業再生へつなげていく狙いだ。耐震性に加え耐火性が課題だが、2時間の耐火性についてはすでに実現の目途がたち、15階以上の高層建築に必要な3時間耐火性について現在開発中である。(オルタナ編集部=堀理雄)

このプロジェクトは2041年までの実現を目指し、それに向け現在14階建てのビル建築に向けた開発を進めている。

住友林業コーポレート・コミュニケーション部担当によれば、使用する木材は耐震性など強度の点から現在カラマツなどの素材を検討しており、調達についてはできるだけ国産材を使用する方向だ。

耐震性とともに鍵となるのが耐火性だ。木材高層建築の場合、主要構造部は最上階から4階までを1時間耐火構造、14階までを2時間耐火構造にする必要がある。3時間耐火構造とすれば、階数の制限はなくなる。

現在、すでに1時間の耐火性は実現し、2時間耐火性も実現のめどが立っているという。耐火性を高めるために木材以外の素材を混ぜるケースもあるが、今回のプロジェクトでは極力木材以外の素材は使用しない方針だ。

「まず(350メートルの高層建築という)目標を先に決め、そこに向け実現を目指していく『バックキャスティング』の考え方で計画を進めている。2041年という期限も前倒しが可能であればいつでもしていく」と同担当は説明する。

プロジェクトの狙いの一つは、林業再生だ。木材の需要を高めることで産業としての林業を活性化し、森林の適切な管理促進につなげる。

また、ビルは部材の修理・交換などで持続的な建築物となるような構造を目指し、使用済みの木材は住宅用の柱に使用するなど、都市の中で木材を循環させる構想だ。最後はバイオマス発電の燃料としていくという。

林業の再生・地方活性化とともに、「街を森にかえる」の考え方のもと、環境木化都市の構築を目指すとしている。