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島の木材を活用した照明器具で、衰退する林業に貢献

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国内の地域材で家具をつくるワイス・ワイス(東京・渋谷)は16日、島根県隠岐の島の木材を使用した照明器具「a piece of forest」を発表した。島内の木材を使用し、島の大工がつくることで、地域の持続可能性に貢献する製品だ。同社の佐藤岳利代表は「日本では、トレーサビリティが不明な海外からの違法伐採木材を消費している。安価な木材の流入によって、国内では林業が衰退し、森が荒廃している」と警鐘を鳴らす。同社では照明器具を通じて、地方に仕事を届け、自然環境がいい状態になり、次世代に継承されていくことを目指すという。(辻陽一郎)

3種類の照明器具はほぼ木材でできていて、一見、ライトがどこにあるかも分からないほどだ。シンプルなデザインの中に島大工の高度な伝統技術がある。木のぬくもりを感じる灯りを目指したという照明をデザインした橋本夕紀夫さんは「LEDを使用したことで、伝統技術を日常世界に実現できた。ハイテクと伝統技術が融合してできた器具」と語った。

このプロジェクトは隠岐の島にある池田材木店の池田明生代表が、ワイス・ワイスの佐藤代表に相談したことから始まった。隠岐の島は島根県の北東、日本海に浮かぶ小さな島で、総面積の8割が森林だ。だが、安価な木材の輸入や担い手不足などによって、山をもっていても利益を生み出しにくくなっていた。所有者は山を管理することが負担になり、放置されて荒れ始めている。池田代表は代々受け継いできた山を「先人に感謝し、後世に残していきたい」と話した。

今月16日から6月15日まで開かれる展示会では、照明器具を隠岐の島の映像やストーリーとともに紹介している。島大工を擁する吉崎工務店の吉崎英一郎専務は「地方の森林が荒廃してきているという日本の実情を照明器具を通じて知ってもらい、興味をもってもらいたい」と思いを込めた。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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