サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

中高生科学コンペ、優勝は「トビハゼの転がり」研究

  • Twitter
  • Facebook

日本財団と研究者集団のリバネス(東京・新宿)は、中高生の海・水産分野・水環境に関する研究を支援する「マリンチャレンジプログラム」事業を始めているが、3月29日に初年度の集大成として「全国大会」を開催した。選ばれた16チームのプレゼンテーションを科学者らが審査し、トビハゼの行動に斬新な仮説を打ち立てた研究など6チームを表彰した。(瀬戸内 千代)

最優秀賞を受賞したかえつ有明高等学校の発表。左から田中絢音さん、藤本紗帆さん

かえつ有明高校(東京・江東)1年の田中絢音さんは、魚に右利き左利きがあることを知って魚の行動に興味を持ち、「トビハゼの転がる方向に規則性があるのか」というテーマで友達2人と研究を始めた。

皮膚呼吸できるトビハゼは、干潟を歩いたり跳ねたりしつつ、たびたび泥の上に体を転がす。その理由には「皮膚を乾燥から防ぐため」「排せつを助けるため」「えら呼吸を助けるため」「体温調節をするため」「体表のアンモニアを落とすため」など諸説あるが、同チームは条件を変えて観察を重ね、皮膚を乾燥から防ぐ目的以外の従来の仮説を否定した。

トビハゼを解剖して、胸びれが頭蓋骨に接続している構造は歩行向きでなく、かなり筋肉を使っていると推測。比較的リラックスしている時によく転がる様子から、「ストレッチがしたいから」という新仮説を提唱した。

左右の転がりには規則性が無いことを突き止め、「皆さんも、ストレッチする時に右だけやることはないのでは」と会場に投げかけた。質疑応答で筋肉について研究を深める意欲も見せた同チームは、最優秀賞に輝いた。

ほかにも、サンゴ卵をドローンで回収するシステムの開発を試みた沖縄工業高専が日本財団賞を、崩壊の危機にある海岸名勝地を地元の砂と微生物を使ったセメントで修復することを試みた和歌山工業高専がリバネス賞を獲得した。

初年度は1次選考で59チームに5万円、2次選考で16チームに5万円の研究費を助成し、科学者がアドバイザーやメンターとして採択チームの研究に伴走した。2年目の募集もすでに終わり、間もなく2018年度の採択チームへの支援が始まる。

マリンチャレンジプログラム公式ホームページ
https://marine.s-castle.com/

瀬戸内 千代 (せとうち・ちよ)

海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。