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備蓄用パンの缶詰で被災地支援、環境大臣賞最優秀賞

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最優秀賞を受賞したパン・アキモトの秋元義彦・代表取締役

環境省はこのほど、第5回グッドライフアワードの表彰式を青山TEPIAホール(東京・港)で開催した。グッドライフアワードは「環境と社会によい暮らし」や取り組みを表彰する。153件の応募から環境大臣賞を受賞したのは10件。最優秀賞には、賞味期限が残り1年の防災備蓄用のパンの缶詰を紛争地や被災地に無償提供しているパン・アキモト(那須塩原市)の「救缶鳥プロジェクト」が選ばれた。(オルタナ編集部=小松 遥香)

救缶鳥プロジェクトは、3年の賞味期限がある防災備蓄用のパンの缶詰を販売し、賞味期限が残り1年になると下取りして国内外の紛争・被災地に無償提供する取り組みだ。同社代表取締役の秋元義彦さんは、「若い頃にネパール・インドで貧しい子どもたちを見て何とかしたいと思った経験と、食べてもらうためにつくった缶詰が捨てられる光景を見てこのプロジェクトが生まれた」と語った。

2009年に始まった同プロジェクトを通して、これまでに14万個以上を国内に、21万個以上を国外に届けた。プロジェクトで大切にしていることとして、秋元さんは「義援の見える化」を挙げた。連携するNGOに支援物資を配った際に写真を撮ってもらい、同プロジェクトに参加する学校や企業、自治体などに送っている。

秋元さんは最優秀賞の受賞に驚いたと言い、「まだまだ知名度が低いので、地道に伝えていきたい。来年には米・カリフォルニアでも『救缶鳥プロジェクト』を始める計画だ。ゆくゆくは、アメリカの備蓄用品が南米に暮らす支援が必要な人に届くようにしたい」と抱負を語った。パン・アキモトの創業は1947年。4人の子ども全員がさまざまな形で家業に携わっており、柔らかいパンを缶詰にする独自の技術と救缶鳥プロジェクトを世界に広げていこうとしている。

環境大臣賞の優秀賞には、買い物難民の高齢者に向けて移動販売事業を行う「移動スーパーとくし丸」(徳島市)、空心菜を用いた水質浄化と復興支援活動を行う岐阜県立恵那農業高等学校、東京都檜原村で顔の見える林業を展開する「東京チェンソーズ」(東京・西多摩)が選ばれた。

環境省の中井徳太郎・総合環境政策統括官は、「みんなの力で社会が変わる。さまざまな環境と社会の問題を同時に解決していくことを、みんなで描くことが大切だ。SDGsやパリ協定など世界でもそういう潮流になっている。私たちの生活が大きく変わるということがなければ、人類が直面している問題を解決することはできない」と話した。

環境大臣賞各部門賞は以下の通り。

企業部門
水辺の生物多様性保全活動「MS&ADラムサールサポーターズ」:MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社

自治体部門
ミライカレッジ菊池「おばあちゃんの栗山を守るプロジェクト」菊池暮らし体験ツアー:熊本県菊池市

学校部門
つなげよう段ボールコンポストの輪:八王子市立弐分方にぶかた小学校(東京)

地域コミュニティ部門
広大な緑地整備で高めるまちの魅力と住民のQOL:ECOKA委員会(奈良)

NPO ・任意団体部門
エコ商品の開発から地域創生につながる環境社会イノベーションへの取組:緑のリサイクルソーシャルエコプロジェクトチーム(徳島)

個人部門
「東京の野生児」を育む~森と自然の体験講座:土屋一昭(東京)

小松 遥香

オルタナ編集部。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。