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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

持続可能で自由な参加型社会を目指して

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サステナブル・ブランド ジャパンはこのほど、「プラチナ社会とグッド・ライフ」と題した法人会員向けフォーラムを東京・銀座で開催した。4回目を迎えたフォーラムに登壇したのは、三菱総合研究所所長でプラチナ構想ネットワーク会長の小宮山宏氏とエイチアンドエム ジャパン CSRマネジャーのアンジェラ・オルティス氏。「人やモノが飽和している時代において、持続可能で自由な参加型社会『プラチナ社会』の形成が必要だ」などの意見が述べられた。

世界12都市で開催されるサステナブル・ブランド国際会議の今年度のテーマは、「グッド・ライフの再定義」だ。大量生産・大量消費に代表される20世紀が終わり、人々にとっての「グッド・ライフ(良い暮らし)」の定義は変化してきた。

資源の枯渇や環境破壊――。「このままでは地球が持たない」と言われる時代に、世界そして日本で求められている「グッド・ライフ」がどんなものなのか。人々の暮らしを良くするために製品やサービスを開発してきた企業は今、「グッド・ライフ」の意味を改めて問い直す時を迎えている。

小宮山氏は、「グッド・ライフの実現とは、量的な経済成長から質的な経済成長に向かうことだ。モノも情報もあり、移動も長生きもできる。今、人々が求めるものは質的豊かさだ」と語る。同氏は、そうしたモノも心も豊かな社会、そして持続的で自由な参加型社会を「プラチナ社会」と定義する。

プラチナ社会は、「エコロジー(生物多様性・地球環境・公害克服)」「資源の心配がない(省エネ・新エネ・一次産業・循環型社会)」「自由な選択(文化・芸術・スポーツ・多様な選択肢・GDP)」「雇用がある(イノベーションによる新産業)」「だれでも参加できる(交流・生涯成長・健康で安心な加齢)」の5つの要素がある社会だ。

小宮山氏は、「企業の成長機会はここにある。転換期を迎え、発想の転換も求められている。ビジネス・チャンスは、プラチナ社会の創造を目指すことで生まれる」と説明した。

ファッションをサステナブルに。サステナビリティをファッショナブルに

サステナビリティに取り組む先進企業の事例として紹介されたのは、1947年にスウェーデンで創業されたファッションブランド「エイチアンドエム」など7つのブランドを傘下に置くエイチアンドエムグループ。同グループは、「ファッションをサステナブルなものに。そしてサステナビリティをファッショナブルに」を目指しているという。

具体的には、「2030年までに100%再生資源、サステナブルな原材料に切り替える」「2040年までにクライメイト・ポジティブになる」「公正な生活賃金と労使関係プログラムの拡大する」ことなどを目標として掲げている。

そのために、同グループは毎年、サステナブルな素材を使った洋服を披露する「コンシャス・エクスクリーシブ コレクション」を実施。そうしたサステナブルな素材を使った商品に「エイチアンドエム コンシャス」と記した緑色のタグをつけて販売もしている。店舗では、ブランドを問わず古着の回収をしており、3000円分の商品を買うと500円引きになるクーポンを配布しているという。

CSRマネジャーのアンジェラ・オルティス氏は、ブランドを問わず古着を回収することについて、「ファッションがサステナブルであるためには、業界全体を巻き込んで、ファッション業界そのものをクローズドループにする必要がある」と力を込めた。

フォーラムの後半は、小宮山氏とオルティス氏、サテナブル・ブランド国際会議 総合プロデューサーを務める森 摂氏による鼎談が行われた。「質的な飽和から循環型社会へ」などをテーマに、現在の日本社会とその課題に焦点を置き、スウェーデン企業と比較しながら、企業が向かうべき方向について話し合われた。

次回のフォーラムは1月23日に開催され、今月末にタイで開催される「サテナブル・ブランド国際会議 バンコク」の報告会が行われる。

小松 遥香

オルタナ編集部。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。