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東急とホンダ、「季美の森」で住民と将来型街づくり

瀟洒な住宅が道路の左右に並んでいる「季美の森大通り」

「季美の森」は1980年代に東急不動産が開発した、千葉県東金市、大網白里市、千葉市に広がる住宅地だ。欧米の高級郊外住宅をモデルに、ゴルフ場を中心にした都市デザインで人気を得た。だが、住民の高齢化が進み「老後の生活が不安」「交通や買い物が不便」といった問題を抱えている。東急不動産はホンダや順天堂大学などと、超小型モビリティ「MC-β」の実証実験や予防医学の講座を開くなど、住民と一体になった街づくりを始めた。(松島香織)

約1855戸ある季美の森には、6つの自治会と自治会を束ねる自治会連合会がある。さらに、決定から実行までをスピーディーに行うため、特別委員会「ミライズキミノモリ」を設置し、住民自ら積極的に街づくりを進めている。

ミライズキミノモリは、2015年に東京都市大学と東急不動産とともに住民の意識調査を実施。約8割が「季美の森を好き」と回答するも、住み替えを考える人が3割弱おり、全国調査と比較して高いことが分かった。

その最大の理由が「老後への不安」だ。自治会で議論を重ね、行政や企業・団体の協力を得て街を活性化させる「いつまでも元気で暮らせる街づくり」をヴィジョンに掲げた。ミライズキミノモリの代表を務める青松信宏さんは、「楽しく元気にずっとここに住もう、をコンセプトに活動している」と話す。

MC-βは前後に2人乗車することが出来る

ホンダは、11日に季美の森スポーツ・プラザで開催された愛菜フェスティバルで、超小型スマートモビリティ「MC-β」(エムシー ベータ)の住民向け試乗会を開いた。当初は夏ごろ開催を予定していたが、公道を走行するため国土交通省や千葉県、東金市など約20ヵ所への申請手続きが必要となり、計画よりも時間がかかった。試乗した人の中からモニターを募り、20日から年末まで貸し出す予定だ。

今後住民からの意見を反映させつつ、「国の運用基準が策定され次第、MC-βを市場に投入したい」と開発者の、本田技術研究所R&DセンターX モビリティシステムプロジェクトの石田喜三主任研究員は意気込む。本田技研工業ビジネス開発統括部スマートコミュニティ企画部の加川大樹担当部長は、季美の森での実証実験について、「街づくりには時間がかかり、すぐに『正解』は出ない。じっくりと関わっていきたい」と話した。

医学博士で順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の町田修一先任准教授も、同様に長期的に関わることを考えている。「ICTを活用して、健康に関するリーダー育成を考えている。高齢者だけでなく、子どもの運動不足も心配だ。運営は難しいかもしれないが、住民の意識が高く上手くいくと考えている」と手応えを感じている。

「開発するだけの時代は終わった。これからは住民と一体になって、健康や環境をテーマにさまざまな企業や人をつないだ街づくりをしていきたい」と、東急不動産R&Dセンターの高野修一主席研究員は話した。いずれも季美の森での取り組みから、今後の超高齢化社会に向けたビジネスモデルを模索したい考えだ。

松島 香織 (まつしま・かおり)

株式会社オルタナ 特約記者。
企業のCSRや広報・IR部署を経て、SDGs、働き方改革(ダイバーシティ)、地方創生などをテーマに取材中。