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金融業の温暖化対策ランキング 保険業が上位を独占

国際環境NGOのWWFジャパンは10月31日、金融・保険業65社の温暖化対策を順位付けしたランキングを発表した。1位の東京海上ホールディングスを筆頭に、保険業が上位を占めた。一方、銀行業は3大メガバンクを含め温暖化対策の長期目標を掲げておらず、一様に評価が下がった。(オルタナ編集部=小松遥香)

WWFジャパンは2014年6月から段階的に業種別の温暖化対策ランキングを公表している。これまでにランキングが発表されている業種は、電気機器、輸送用機器、食料品、小売・卸売業。ランキングを発表することにより企業の温暖化対策を促進する狙いで、発表後に企業と対話を進めるなどし、行動変容につなげてきた実績がある。

評価は、最新の環境報告書・CSR報告書をもとに、実効性の有無に焦点を置いた21指標を基準に行っている。とりわけ重視する指標は、「長期的ビジョン」、「削減量の単位」、「省エネルギー目標」、「再生可能エネルギー目標」、「目標の難易度」、「ライフサイクル全体での排出量把握・開示」、「第3者評価」の7つだ。

保険業と銀行業の取り組みに温度差

今回、調査の対象になったのはジャパン500の中で金融・保険業に属している65社。ただし、そのうち35社は環境報告書を提出しておらず、実際に順位付けされたのは30社。

1位から3位に入ったのは、東京海上ホールディングス(78.2点)、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(75.1点)、SOMPOホールディングス(72.5点)。地球温暖化の影響が本業に直結する保険業3社が上位を占める結果となった。

3社はいずれもパリ協定の掲げる2度目標と整合した長期ビジョンを明示しており、これが高評価につながった。また首位の東京海上ホールディングスは、「長期的ビジョン」、「削減量の単位」、「目標の難易度」、「ライフサイクル全体での排出量把握・開示」、「第3者評価」の5指標で満点を獲得した。

4位には野村ホールディングス(60.0点)が入っており、調査対象企業の中で唯一「再生可能エネルギーの定量目標」を掲げていることが評価された。5位以降は以下の通りだ。

50点以上60点未満(得点順)
第一生命ホールディングス、芙蓉総合リース、三井住友フィナンシャルグループ、八十二銀行

40点以上50点未満(得点順)
みずほフィナンシャルグループ、T&Dホールディングス、滋賀銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループ、オリックス、日立キャピタル

40点未満(得点順)
三井住友トラスト・ホールディングス、大和証券グループ本社、三菱UFJリース、りそなホールディングス、東京センチュリーリース、オリエントコーポレーション、日本取引所グループ、ゆうちょ銀行、横浜銀行、北洋銀行、静岡銀行、イオンフィナンシャルサービス、池田泉州ホールディングス、岡三証券グループ、スルガ銀行、北國銀行

業界としての課題

業界内の平均点は34.9点で、16位の大和証券グループ本社までが業界内の平均点以上の企業だ。しかし、この平均点はこれまでに発表された他業種と比べると、小売・卸売業(平均点34.1点)に続いて最も低い。これについて、WWFは「今回の調査対象企業のうち56%は環境報告書類を発行しておらず、業界として環境コミュニケーションや情報開示の取り組みが遅れている」と評した。

WWFジャパン気候変動・エネルギーグループの池原庸介プロジェクトリーダーは、「投融資を行う銀行・保険業側の企業も、自らが実効性の高い温暖化対策を追求することで知見を高め、投融資先企業の環境対策レベルを見極める力を養うべき」と指摘し、「『投資の運用に伴う温室効果ガスの排出』を開示する企業が一社もなかったが、今後の進展を期待する」と語った。

また今回のランキングで21位に入り、東京証券取引所などを傘下に置く日本取引所グループの企業のCSR(企業の社会的責任・社会対応力)についても言及。「京都議定書の約束期間が終了した後、温室効果ガスの削減目標を持つのをやめた。しかし投資する側・される側の双方がESGを重視した取り組みを進めている中、日本取引所グループ自身が自らの取り組みレベルを後退させてしまったのは問題」とした。

次回のランキングの対象になる業種は、建設・不動産業だ。

小松 遥香

オルタナ編集部。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。