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「がんと就労」テーマにした企業アライアンス発足

「がんアライ部」の発起人メンバー

ライフネット生命保険は10月6日、クレディセゾンやNPOなど6団体と共に、がんを治療しながら働ける社会を目指す企業アライアンス「がんアライ部」を発足した。主に企業の人事担当者に向けて勉強会を開き、がんに罹患した社員の離職を防ぐルール作りや、社内での理解浸透を促す。ウェブサイトとフェイスブックでがんに関する法制度やサポート情報を発信するほか、「がんと就労」で優れた取り組みをした企業や団体を表彰する予定だ。(松島 香織)

公益財団法人がん研究振興財団の「がんの統計’16」によると、生涯にがんと診断される確率は男性で62.7%、女性で46.6%であり、おおよそ2人に1人ががんと診断されることになる。そのうちの約3割が、20代から60代の働く世代だ。医療技術の進歩によりがんは、働きながら治療を続ける「長く付き合う病気」になった。

厚生労働省は「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を2016年2月に公表し、治療と職業生活の両立支援を事業者に求めている。患者は薬の後遺症で体力低下やメンタル面で問題を抱え、柔軟な働き方を望んでいるが、そうした職場環境を整えている企業は少ない。さらに非正規雇用の場合はどうするのか、という課題もある。

記者会見で代表発起人のARUN合同会社の功能聡子代表は、「がんになったからといって、仕事を辞めないでほしい」と強く訴えた。

ライフネット生命保険の岩瀬大輔社長は、「企業が主体になって動くと社会が変わります」と力を込めた。同社は、同性パートナーを受取人に指定できる生命保険をいち早く販売し、その後次々と大手企業らがLGBTに対応。その時の取り組みから強く実感しているという。

発起人の一人であるクレディセゾンの武田雅子取締役は、自身もがんを経験した。「がんから多くのことを学びました。たくさんの方との出会いはがんのおかげであり、がんなしでは今の自分はありえません」と明るく笑う。

部会の参加者は軍手とビニール手袋をはめて、がん患者が感じる「手のしびれからくる不自由さ」を体験した

同社の戦略人事部室長も務める武田取締役は、第1回がんアライ部部会に登壇し、「がんに罹患した社員が元気に働いている姿を、社内で見せることがメッセージになります」と、ルール作りよりも実績が大事であることを強調した。「それが人事部への信頼、ひいては働き方改革につながります」と、参加した41社、50人の人事担当者に語った。

日本オラクルの川向緑コーポレート・シチズンシップ プログラム・マネージャーは、「がんサバイバーの方たちとどう働いていけばいいのか、働き方改革の文脈で考えたい」と参加した。トップダウンや担当部署で対応するのではなく、「アライ」(がん患者の味方)を増やし、職場でがんであることをもっと気楽に話せるような風土を作りたいという。


「がんアライ部」発起人メンバー
・ARUN合同会社 代表 功能 聡子
・ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長 岩瀬 大輔
・認定NPO法人フローレンス 代表 駒崎 弘樹
・キャンサー・ソリューションズ株式会社 代表 桜井 なおみ
・マギーズ東京 共同代表 理事 鈴木 美穂
・株式会社クレディセゾン
取締役営業推進事業部長 戦略人事部キャリア開発室長 武田 雅子
・一般社団法人キャンサーペアレンツ 代表、エン・ジャパン株式会社 人材戦略室所属
西口 洋平

松島 香織 (まつしま・かおり)

株式会社オルタナ 特約記者。
企業のCSRや広報・IR部署を経て、SDGs、働き方改革(ダイバーシティ)、地方創生などをテーマに取材中。