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有馬利男・GCNJ代表、「SDGsで企業価値高めよ」

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SDGsの推進が企業価値向上につながると強調する有馬代表理事 (写真=廣瀬 真也・spread)

サステナブル・ブランド国際会議2017東京に有馬利男・グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ、東京・港)代表理事が登壇した。有馬代表理事は、SDGsの推進について、GCNJの役割を話した。「社会性」で企業が評価される時代になったとし、「経営者は勇気と自信を持って、SDGsの推進へ取り組んでほしい」と訴えた。(オルタナ編集部=池田 真隆)

有馬理事は、サステナブル・ブランド国際会議2017東京のアンバサダーでもあるが、サステナビリティに関する国連グローバル・コンパクトの動き、そして、SDGsを推進していく上での企業の役割について話した。

国連グローバル・コンパクト(UNGC)は1999年、コフィ―・アナン国連事務総長(当時)がスイスの世界経済フォーラムで提唱したイニシアチブだ。会議の場で、ビジネス界のリーダーに向かって、「人の顔をしたグローバル市場を一緒につくりましょう」と訴えたという。

その背景には、1990年代、企業成長の裏で起きた社会問題があった。89年にベルリンの壁が崩壊し、米ソの冷戦が終結し、ヒト・モノ・カネが動き出した。そうしてグローバリゼーションの動きが活発化した。

その過程で大量の自然破壊や児童労働が相次いで発覚し、コフィ―・アナンが問題を提起。UNGCは企業に対して、人権、労働、環境、腐敗防止に関する10原則を順守し、実践するように求めている。

85カ国にローカルネットワークが広がり、GCNJに加盟している企業・組織の数は240を超えた。

UNGCは、SDGsの成立にも中心的な役割を果たした。SDGsの17のゴールを定めるときに、UNGCの10の原則をベースに考えた。SDGsにとってUNGCが北極星というイメージで、一緒に推進をしているという。

主に活動は3つある。一つは、SDGsにおける企業行動指針となる「SDGコンパス」で、企業がSDGsを推進していくときのガイドラインだ。

2つ目が、「SDG Industry Matrix」の日本語訳だ。各産業別に世界の企業の活動事例を紹介し、日本語訳を4つ出した。

3つ目が「PRI(責任投資原則)」だ。機関投資家がESGを投資判断の基準に組み入れるためのイニシアチブだ。財務情報だけでなく、ESGつまり、非財務情報を参考にして、投資をしていくという考えに、賛同する投資家が大変な勢いで増えているという。

年金積立金管理運用独立法人(GPIF)もPRIに署名し、50以上の金融機関が加入している。世界では加入者は1500を超えるという。

GCNJでは、AKK(明日の経営を考える会)という名称のプログラムを行っている。加盟各社の社長に呼びかけて、執行役員クラスの人材が真剣にCSRについて勉強する1年間のプログラムだ。9年目を迎え、卒業生は130人になる。

「企業はSDGsを推進することで、何を期待しているのでしょうか」と有馬代表理事は問いかけた。

2015年にアンケートを取ったところ、「ブランド力の向上」と答えた割合は60%で、当時はまだSDGsが浸透していなかった。2016年のアンケートでは、「ブランド力の向上」と答えた割合が79%に上昇した。これは、SDGsに取り組んだ効果を前向きに捉えていることを表している。投資家側が、取り組みに熱心な企業を正当に評価する時代になった。

「経営者は、勇気と自信を持って、SDGsで定めた17のゴールに向けて取り組み、ブランド力を磨いていってほしい。そういう時代に入ってきたと実感しています」と有馬代表理事は締めくくった。

池田 真隆 (いけだ・まさたか)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナS編集長
1989年東京都生まれ。立教大学文学部文芸思想学科卒業。大学3年から「オルタナS」に特派員・インターンとして参画する。その後、編集長に就任し現在に至る。オルタナSの編集及び執筆、管理全般を担当。企業やNPOなどとの共同企画などを担当している。
「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。