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世界の子どもの貧困問題解決、目標から450年遅れ

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サハラ砂漠以南アフリカの子どもたちが「極度の貧困生活」を強いられる

国連総会で昨秋採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つに、 2030年までに極度の貧困をなくすことが掲げられている。だが、子ども支援の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは16日、「このままでは、極度の貧困から最後の子どもが抜け出すのは西暦2482年になり、達成目標年から452年(18世代)も遅れる見通し」と発表した。なかでも、サハラ砂漠以南のアフリカに暮らす子どもたちの貧困問題は深刻だ。(オルタナ編集部=吉田 広子)

2030年時点で、1日1.90ドルの貧困ラインを下回る「極度の貧困生活」を強いられる子ども1億6700万人の約90%が、サハラ砂漠以南アフリカの子どもたちになると予測されている。

世界銀行は2016年10月、2013年時点で7億6700万人以上が極度の貧困状態にあり、その半数の3億8500万人が子どもだと発表した。世界人口比では 極度の貧困状態にある大人が9.2%なのに対して、子どもは19.5%で大人の2倍になる。これは、より貧しい家庭ほど、より多くの子どもを持つ傾向があるためだという。

スイス・ダボスで開催されている世界経済フォーラム(ダボス会議)では、「Responsive and Responsible Leadership(迅速で責任のあるリーダーシップ)」が議論のテーマに掲げられている。

今年の世界経済フォーラムの共同議長で、セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルのヘレ・トーニング=シュミット事務局長は「極度の貧困を根絶するのに今から18世代もかかるような今の状況は許されない。それでは、 何百万人もの脆弱な立場に置かれた子どもたちとの約束を破ることになる」と訴える。

シュミット事務局長は「私たちは、 質の高い保健医療と教育へのアクセスを拡大させたり、 子どもの貧困を削減するための国家予算を確保したりするなどのより良い行動を取ることができるし、より良くしなければならない。世界は、危機を解決するための青写真に賛同しているのだから、今はそれに取り組むべき」とコメントしている。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの千賀邦夫事務局長は「子どもの貧困は、負の連鎖。 貧困は、子どもたちの教育の機会を減らし、病気になる可能性を増やし、 児童婚や児童労働、 搾取の被害に遭う危険性を拡大する。何百万人もの子どもたちが置かれているこの不利な状況は、 大人になってからも影響を及ぼすだけでなく、次世代にも引き継がれる。これは、 子どもたちにとって不公平であると同時に、社会にとっての代償も大きい」という。

千賀事務局長は「今賢い投資をすることによって、世代間の貧困の連鎖を断ち切り、より安定し繁栄した世界の基礎を築くことができる。史上かつてない規模の知見を有し共有するこの時代に、子どもが貧困の中で育つことを正当化することはできない」と続けた。

吉田 広子 (よしだ・ひろこ)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。

「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。