味の素、アフリカで「栄養治療食品」の開発へ
味の素の西井孝明社長
|
味の素が東アフリカのマラウイで、重篤な急性低栄養の子ども向け栄養治療食品(RUTF)の開発を進め、2015年10月から栄養効果試験を行っている。RUTFはそのまま食べられるペースト状の完全栄養食で、6─8週間摂取することで重度の栄養不良からの回復が見込める。
アフリカ諸国、特にサハラ以南の多くの地域では、異常気象や自然災害、内乱などの影響で、深刻な食糧危機と栄養不良の問題を抱えている。多くの子どもたちが中・重度の栄養不良に陥り、保健施設に運ばれてくる状態が続いているという。
現在はスキムミルク・ピーナッツペーストを主成分とした「プランピー・ナッツ」が主流で市場の6割を占め、全体の7割が欧米で生産されているという。そこで、味の素グループは、現地で調達できる穀物を主体とした次世代RUTFの開発を進め、マラウイでの本格生産を目指す。現地生産することで低価格を実現させる。
開発にあたっては、RUTFを用いた栄養不良の治療法を初めて確立したアイルランドのNPO「バリッドニュートリション」と協働している。
味の素グループは1999年に「食・栄養」分野の国際協力支援活動「AINプログラム」を開始し、2009年から「ガーナ栄養改善プロジェクト」に取り組むなど、栄養問題の改善に力を入れてきた。
味の素の西井孝明社長は「世界の栄養課題に対して事業を通じて貢献していく。地域社会と連携した事業活動によって各国地域固有の栄養課題の解決を目指す」と意気込みを語る。