• 公開日:2026.02.10
世界で最も持続可能な100社発表、日本企業は2社のみ 評価方法に「収益成長性」を導入
  • 遠藤 康子
image credit: Unsplash

カナダのメディア・投資調査会社「コーポレート・ナイツ」は、2026年の『世界で最も持続可能な企業100社(グローバル100インデックス)』を発表した。売上高が10億ドル以上の世界主要上場企業8000社以上を対象にしたランキングで、「ダボス会議」に合わせて毎年1月に公表されている。22回目を迎えた今回は、評価方法として企業が持続可能な収益をどれだけ速く増やしたかという「収益成長性」を初めて導入し、1位と3位に再生可能エネルギーの発電企業がランクインするなど、顔ぶれが大きく変化した。日本企業のランクインは昨年の3社から1社減って2社にとどまった。

持続可能な収益成長率を重視

サステナビリティは単なるイメージ戦略ではなく、ビジネスそのものにも有益であるという認識が企業の間で広まりつつある。しかし、経済活動が地球の許容範囲を超え、持続可能なビジネスへの移行はいまや待ったなしだ。こうした差し迫った状況を受け、コーポレート・ナイツはグローバル100社の選定に当たり、今回から持続可能性をどれだけ改善しているかを見るために収益成長率を評価項目に追加した。その結果、順位が大きく入れ替わり、上位3社を欧州勢が独占したほか、37社が新たにグローバル100の仲間入りを果たした。

前年までは、サステナブルな収益ならびにサステナブルな投資を合算したスコアが50%を占めていた。残りの50%は環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する22の共通KPI(主要業績評価指標)が基になっており、水使用量や温室効果ガス排出量、労働災害による死亡者数、経営陣における多様性などが評価されていた。

しかし今回は、従来のサステナブルな収益と投資の2指標の他に、持続可能な収益の伸びを示す「サステナブル収益成長率」を評価指標に加えた。

・サステナブル収益スコア:コーポレート・ナイツの基準でサステナブルと分類された製品・サービスから得た収益の割合

・サステナブル投資スコア:コーポレート・ナイツの基準でサステナブルと分類されたプロジェクトや研究開発などへの投資の割合

・サステナブル収益成長率:2022年から2024年にかけてのサステナブル収益の年平均成長率(CAGR)

コーポレート・ナイツの最高経営責任者(CEO)トビー・ヒープス氏はこうした変更について、「私たちはスピードこそが重要だと警告しています。今回は、各企業が世界の持続可能性にどれくらい貢献しているのか、ということだけに焦点を絞りました」と述べている。

なお、評価手法は大幅に変わったが、業種ごとの枠組みは維持され、同業種の企業を同一条件の下で比較している。また、労働災害死亡事故や罰金などによる減点も引き続き適用された。

では、新しい評価方法で選出された世界で最もサステナブルな企業の上位20社を紹介する。

トップ20

1位:ERG(イタリア、発電)
2位:パンドラ・ジュエリー(デンマーク、一般消費財)
3位:EDPレノバベイス(スペイン、発電)
4位:フルエンスエナジー(米国、再生可能エネルギーの貯蔵)
5位:台湾高速鉄道 (台湾、鉄道)
6位:ダヴィータ(米国、ヘルスケア)
7位:リヴィアンオートモーティブ(米国、電気自動車製造)
8位:ノボネシス(デンマーク、医薬バイオテクノロジー)
9位:オーステッド(デンマーク、発電)
10位:スズロンエナジー(インド、風力発電機)
11位:メリディアンエナジー(ニュージーランド、電力)
12位:サングロウ(中国、電気設備)
13位:NKT(デンマーク、電気設備)
14位:BCE(カナダ、電気通信サービス)
15位:GEM(中国、廃棄物管理)
16位:デクスコム(米国、医療機器製造)
17位:シンイーソーラー(中国、ガラス・セラミック製造)
18位:ゲットリンク(フランス、輸送事業)
19位:ウィートン・プレシャス・メタルズ(カナダ、資産管理)
20位:シャオペン(中国、自動車・トラック製造)

全ランキングはこちら
https://corporateknights.com/rankings/global-100-rankings/2026-global-100/the-2026-global-100-puts-speed-in-the-spotlight


日本企業
36位:エーザイ (製薬)
87位:リコー (機器メーカー)

上位3社は欧州企業、日本企業は2社のみ

1位はイタリアのエネルギー企業ERGで、前年の18位から順位を上げた。同社は2013年に化石燃料資産の売却に着手し、2023年には再生可能エネルギーへの完全移行を完了。その取り組みが認められ、2年前にはピボット賞(方向転換を称える賞)に選ばれ、順位上昇が予測されていた企業だ。2022年から2024年にかけて風力と太陽光による発電量が大幅に増加したことも1位獲得の大きな要因となった。

2位のデンマークのジュエリー企業パンドラは、天然ダイヤモンドを止めて人工ダイヤモンドのみを使用し、ゴールドとシルバーは100%リサイクル品だ。パンドラと3位のスペイン・再生可能エネルギー企業EDPレノバベイスはそれぞれ、昨年の48位と38位から大きく躍進した。

国・地域別に見ると、西欧が最も多く37社で、そのうち15社が北欧企業だった。米国は9社が新たにグローバル100に仲間入りして合計20社と国別で最多。米国がサステナブル経済から撤退しているという見方に反した結果となった。中国企業は12社、カナダ企業は9社だった。

日本企業からは、エーザイは昨年より順位を1つ落として36位。87位のリコーは昨年の51位から大きくランクを落とした。昨年98位だったシスメックス(電子機器)は今回、ランク外となった。

勢いを取り戻したグローバル100社

グローバル100社の業績に目を向けてみよう。世界で最も持続可能な企業100社で構成されるMCKG(グローバル100 ETF)は、2024年末から2025年末までの1年間の総投資収益率が18.71%と、MSCIワールドEFT(XWD)の15.26%を上回った。ここ2年はロシアによるウクライナ侵攻や金利上昇などの一時的な要因で市場平均を下回っていたが、グローバル100社は本来の勢いを取り戻しているという。

グローバル100 ETFとMSCIワールドETF(XWD)の総投資収益率
(2024年12月31日~2025年12月31日)
出典:コーポレート・ナイツ(Corporate Knights) 2026 Global 100

サステナブル収益とサステナブル投資の割合については、グローバル100とその他の上場企業との間で大きな差が見られた。サステナブル収益が総収益に占める割合は、グローバル100が60.7%だったのに対し、その他が平均17.3%、サステナブル投資が総投資に占める割合は、グローバル100が60.2%で、その他が平均12.6%だった。

気温上昇を1.5度に抑えることが不可能だとわかった今ほど、改善のスピードが求められる時はない。その一方で、グリーントランスフォーメーション(GX)のチャンスを巡る競争は激しさを増している。持続可能なビジネスを目指して着実に歩みを進めるグローバル100社は、極めて有利な位置に付けていると言えるだろう。

評価方法

総売上高が10億ドルを超える世界の上場企業およそ8200社を対象に、企業が開示する財務報告書やサステナビリティ報告書、ウェブサイトの情報などを基に評価した。
環境破壊に加担する企業、気候変動政策を妨害する企業、武器や武器関連サービスからの収益が5%を超える企業、取締役会または上級経営幹部に女性が1人もいない企業などは評価対象から除外される。

written by

遠藤 康子(えんどう・やすこ)

フリーランス英日翻訳者。英語講師、日本語講師を経て、現在はウェブニュース、雑誌記事、書籍の翻訳を手掛ける。訳書に『子どものためのセルフ・コンパッション』(創元社)など、共訳書に『これからの「社会の変え方」を、探しに行こう。』(SSIR Japan)などがある。

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