• 公開日:2019.02.01
東ガスなど国内最大規模の石炭火力発電所計画が中止

東京ガス、九州電力、出光興産の3社は1月31日、千葉県袖ケ浦市で計画されていた石炭火力発電所の新設を断念すると発表した。国内最大規模の新設計画だったが、環境対策にかかる設備費など事業の採算性が合わないと判断した。今後東京ガスと九州電力は燃料をLNG(液化天然ガス)に変更して検討を進めていく。市民団体やNGOからは新設中止を歓迎する一方で、「LNGではなく自然エネルギーへのシフトを求める」との声も出ている。(オルタナ編集部=堀理雄)

新設が計画されていたのは、設備容量が200万キロワットで、原子力発電所2基分に相当する国内最大規模の石炭火力発電所だ。2016年に始まった電力自由化を踏まえ計画された。

3社は環境基準を満たすため、石炭とバイオマスとの混焼による発電で事業検討を進めてきた。しかし、「そのための設備投資や木材チップの調達コストなど、固定費・変動費ともかさむことから、事業の採算性が見込めないとして計画の断念に至った」(東京ガス広報部)という。

今後東京ガスと九州電力の2社は、燃料をLNGに変更し、火力発電所の新設計画を継続する。LNGは石炭に比べCO2の排出や大気汚染物質など環境負荷は低いものの、市民団体やNGOからは、パリ協定を踏まえ化石燃料を使用した発電をやめるべきとの指摘が出ている。

「石炭火力を考える東京湾の会」は1月31日に声明を発表。「『中止』の決断は、極めて真っ当」としながらも、「パリ協定に基づく『1.5℃目標』の達成を目指すためには、今後はいかなる化石燃料の発電所も新たに新築することは認められない」とした。

国際環境NGOのグリーンピース・ジャパンも同日発表した声明で、「脱石炭に向けた決定は前向き」と評価した上で、「喫緊で求められるのは、エネルギー効率向上と持続可能な自然エネルギーへのシフトと投資を加速すること」だと述べた。

東京ガスでは昨年10月に発表した経営計画の中で、国内40万キロワット、海外60万キロワットで計100万キロワットの自然エネルギー電源の獲得をめざすとしている。同社広報部は、「環境面への配慮を踏まえつつ、低炭素に向けて取り組みを進めていきたい」と述べた。

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